研究課題/領域番号 |
17J02146
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平尾 優樹 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 重力マイクロレンズ / 系外惑星 / 近赤外線 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は近赤外線で重力マイクロレンズ系外惑星探査を行い、地球質量を含む惑星の検出数を増やし、惑星形成過程に制限を与えることである。近赤外線での観測のために必要な広視野カメラを製作するためにアメリカのNASA/Goddard Space Flight Centerに出張し、現地の研究者と共同でカメラの開発を行っている。本年度は昨年度行ったカメラの概念設計を元に詳細設計を行った。カメラ冷却用の冷凍機、および望遠鏡のレンズセルを冷やすためのチラー の検討を行い、検出器の読み出しにはAstronomical Research Cameras社の読み出し回路を使用することを基本とし、今後の状況に応じてNASAで開発が進んでいるASICを使用することとした。 惑星イベントのOGLE-2017-BLG-0406の詳細解析を行った。本イベントは光度曲線から得られる有限ソース効果と、Spitzer宇宙望遠鏡のデータを使い地上と宇宙の視差により得られるパララックス効果から2つの質量-距離関係を組み合わせることにより、レンズ天体までの距離が6.0kpc、主星の質量が0.71太陽質量でその周りを0.5木星質量の惑星が周っている系であることがわかった。また昨年に引き続きニュージーランドのMt. John天文台で観測を行っているMOA-II望遠鏡の可視光の観測データのリアルタイムでの解析を行い、その結果を世界中の共同研究者に報告し、新たに6つの惑星候補イベントを発見することができた。新たにサーベイ観測を始めたKMTNetグループのデータも即時解析に含めることで、より詳細な光度曲線のモデリングを行えるようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画ではカメラの製作を開始させる予定であったが、まだとりかかれていないため。詳細設計は可能となったが、実際の製作を開始するための契約をNSASA側と結ぶ必要があり、時間がかかっている。 惑星イベントの解析では新たにチリで観測された追観測の近赤外線のH-bandのデータがある事があり、これを含めた追加の解析が必要となった。しかし、質量や距離を求めるために必要なパラメータの一つであるアインシュタイン角半径をより正確に求めることができたため、より物理量に制限を加えることができるようになった。またさらにこのイベントが宇宙望遠鏡のGAIA衛星のDR2カタログに載っているいる事もわかったため、このデータを使った解析が行えるか検討している。
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今後の研究の推進方策 |
すでに冷凍機と読み出し回路は届いているため、テスト用のデュワーを用いて動作試験や検出器の読み出し試験を行う。NASA側との契約が結ばれ次第カメラの製作を開始し、温度モニターやコントロール用のシステムを構築する。製作が完了し次第、南アフリカに建設される新望遠鏡に設置して、観測を可能にする。 引き続き惑星イベントを発見するためにリアルタイムでの光度曲線の解析を行う。惑星イベントの詳細解析を完了させて論文にまとめて投稿する。
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