研究課題/領域番号 |
17J02151
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
寺本 圭佑 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 特異点 / 波面 / 焦曲面 / 平行曲面 / 距離二乗関数 / 主曲率 |
研究実績の概要 |
カスプ辺やツバメの尾に代表される非退化特異点を持つ波面の主曲率関数の有界性とその挙動についての研究を行った。波面の特異点において、主曲率の一方が有界となるための条件を波面の不変量を用いて特徴づけた。また、有界な主曲率に関する主方向ベクトルを定め、波面に峰点を定義した。主曲率関数の挙動の応用として、平行曲面、距離二乗関数、焦曲面の考察を行い、それらに現れる特異点と峰点との関係を示した。カスプ辺に対して、非有界な主曲率に関する焦曲面を考察した。そのような場合、焦曲面はカスプ辺の特異点集合の像を曲面上の曲線として含む局所的に正則な曲面となることが分かった。また、共通部分において、焦曲面の接平面とカスプ辺の極限接平面は直交することが分かった。焦曲面のガウス曲率および平均曲率とカスプ辺の不変量との関係を示した。このとき、焦曲面のガウス曲率の符号にカスプ辺の特異曲率の符号が関わるという結果を得た。さらに、カスプ辺の特異点集合の像が、焦曲面上の準測地線となるための条件とカスプ辺の極限法曲率の関係や、焦曲面上の曲線としての曲率とカスプ辺の不変量の関係を示した。 与えられた関数を平均曲率に持つ回転面の構成法は、剱持勝衛氏によって知られている。一方、特異点を持つ曲面の平均曲率は一般に特異点で非有界となる。そこで、与えられた非有界関数を平均曲率に持つ特異点付き回転面の研究を行い、構成法を得た。また、構成に用いる関数のデータによって回転面に現れる代表的な特異点の判定条件を示した。さらに、回転面が周期的なる条件についても結果を得た。本研究は、佐治健太郎氏(神戸大)、L.F.Martins氏(UNESP)、S.P.dos Santos氏(UNESP)との共同研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非退化特異点を持つ波面の主曲率関数について、特異点においても有界となる主曲率関数を波面の不変量の符号を用いて特徴づけることができた。また、非退化特異点を持つ波面の平行曲面や焦曲面を考察することでそれらに現れる特異点の特徴づけが初期波面の微分幾何学的性質を用いて得られた。また、カスプ辺に対しては、特異点において非有界となる主曲率に関する焦曲面を考察することで、正則曲面とは異なる性質を得た。また、その焦曲面のガウス曲率や平均曲率とカスプ辺の幾何学的不変量の関係を示すことができた。その中で、焦曲面のガウス曲率の符号と特異曲率の符号の関係や、焦曲面の平均曲率が零になるとき、特異曲率が真に正でなければならないという、カスプ辺の内在的性質に関する結果も得られた。 また、特異点を持つ曲面の平均曲率に関する研究では、与えられた非有界関数を平均曲率として持つ特異点付き回転面や波面の構成法を得ることができ、構成に必要なデータを用いて特異点の型の判定ができた。また、回転面については、曲面の周期条件を求めることができ、興味深い例が構成できた。以上の理由から、当初の計画通りに研究が進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
波面のガウス曲率のある種の有界性とガウス写像の特異点型の関係や、特異点集合と放物点曲線の接触による特徴づけの研究を行う。また、平坦波面や極大曲面、擬リーマン空間型内の空間的平均曲率一定曲面などの表現公式や構成法を持つ特異点付き曲面の大域的性質の研究を行う。そのために、不変量を構成に用いるデータによって明示的に与えておく必要があると考えられる。そのために、特異点論や微分幾何学の専門家と研究連絡を行う。また、本年度に得られた結果を関係する研究集会で発表し、専門家からの指摘を受け、研究方向を定める必要がある。
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