研究課題
本研究は、α線放出核種アスタチン211(211At)標識抗HER2抗体トラスツズマブ(211At-trastuzumab)を用いたα線放射免疫療法がHER2高発現転移性胃がんに対する新規治療法としての可能性を生物学的に評価する前臨床研究である。H29年度は、樹立したHER2高発現胃がん腹膜播種モデルマウスを用いて、体内動態試験および治療実験を行った結果、腹腔投予による211At-trastuzumabを用いたα線放射免疫療法はHER2高発現胃がん腹膜播種に対する低侵襲かつ効果的な治療法として期待できることを示唆した。さらに、樹立した肝転移モデルマウスにおける211At-trastuzumabの体内動態試験により、経時的な腫瘍集積増加を確認した。今年度(H30年度)は211At-trastuzumabを用いたα線放射免疫療法のHER2高発現胃がん肝転移に対する治療法としての可能性を評価するため、治療効果および安全性評価を行った。211At-trastuzumabを単回投与した群のマウスにおいて、投与後1週間程度で腫瘍が消失し、観察期間内での再発は認められなかった。マウスの生存期間も211At-trastuzumabを用いたα線放射免疫療法を行うことで、コントロール群に比べ有意に延長した。HER2高発現胃がん肝転移に対する211At-trastuzumabを用いたα線放射免疫療法による、重度の体重および白血球数の減少や生化学検査による肝臓および腎臓の有意な機能低下は認められなかった。以上の結果から、11At-trastuzumabを用いたα線放射免疫療法はHER2高発現胃がん肝転移に対する治療法として期待できることが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018
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