研究課題/領域番号 |
17J02383
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
友部 遼 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 根ー土接触面 / 摩擦接触シミュレーション / 倒伏 / 根混じり土 / 斜面安定 |
研究実績の概要 |
本年度までに,第一の研究目的である根―土接触面の力学特性のモデル化および数値シミュレーションの開発を行った.その成果として,2次元根混じり土シミュレータを開発した.シミュレータに対して,従来摩擦接触シミュレータのベンチマークとして用いられたpress-fit問題の再現計算により検証を行い,先行研究と同様の結果を得た.加えて,実際の根―土接触面の摩擦特性を再現できるか検証するため,抜根試験(友部ら,2016)の再現計算を行った.結果として,シミュレータにより高精度に力学特性を予測することができた.特に、接触面の降伏条件として導入したMohr-Coulombの降伏基準を非常に精度よく再現したことで、根―土接触面の摩擦特性に関して、その要素試験と要素シミュレーションを一貫した理論を構築できたことは重要である。以上の成果により,要素試験スケールにおいて本シミュレータが根―土接触面の力学特性を精度良く予測できることを確認した.また,より大規模な実問題である倒伏や斜面安定に係る根混じり土の変形シミュレーションに対応するため,本シミュレータを用いて簡易な倒伏試験の再現シミュレーションを実施した.その結果から,変形が比較的小さい場合においては,シミュレーション結果と実験結果が一致した一方で,変形が大きい場合においてはシミュレータは実験結果と比較して反力を過少に見積もることが明らかとなった.この点を改良するため,①根と土の構成モデルの見直し,②高解像度な形状モデルの生成,③①と②を用いたシミュレーションを行うため,計算環境の拡充,以上の3点に取り組む予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに,第一の研究目的である根―土接触面の力学特性のモデル化および数値シミュレーションの開発を行った.その成果として,2次元根混じり土シミュレータを開発した.シミュレータに対して,従来摩擦接触シミュレータのベンチマークとして用いられたpress-fit問題の再現計算により検証を行い,先行研究と同様の結果を得た.加えて,実際の根―土接触面の摩擦特性を再現できるか検証するため,抜根試験(友部ら,2016)の再現計算を行った.結果として,シミュレータにより高精度に力学特性を予測することができた.以上の成果により,要素試験スケールにおいて本シミュレータが根―土接触面の力学特性を精度良く予測できることを確認した.また,より大規模な実問題である倒伏や斜面安定に係る根混じり土の変形シミュレーションに対応するため,本シミュレータを用いて簡易な倒伏試験の再現シミュレーションを実施した.その結果から,変形が比較的小さい場合においては,シミュレーション結果と実験結果が一致した一方で,変形が大きい場合においてはシミュレータは実験結果と比較して反力を過少に見積もることが明らかとなった.
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今後の研究の推進方策 |
根混じり土シミュレータをより大規模な実問題へ適用するため,①根と土の構成モデルの見直し,②高解像度な形状モデルの生成,③①と②を用いたシミュレーションを行うため,計算環境の拡充,以上の3点を行う予定である. ①に関しては,現在根および土に対しては,ゴムや金属の材料構成則として用いられているNeo-Hookean型の超弾性構成則を簡単のため採用したが,本モデルは変形が大きくなるにつれて根や土の力学特性と乖離する可能がある.特に,土に関してはより先進的なモデルが多数提案されており,それらのうちでも代表的な修正Cam-ClayモデルやMC-DPモデルなどを導入する予定である. ②に関しては,現在の形状モデルが主要な1次側根までしか考慮できていない点を改善し,最高次の側根まで考慮した高解像度な形状モデルを作成する予定である.本年度までに,画像から自動的に形状モデルを生成するソフトウェアを開発済みであるため,そのソフトウェアの運用および微修正が主な作業となる. ③に関しては,上記の構成モデルおよび形状モデルの高度化に伴い,計算不可が飛躍的に増大するために必要となる.この対策として,シミュレータの並列計算への対応化を実施するとともに,費用対効果に優れるPCクラスタを開発・運用し,必要な計算環境を整備する予定である.
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