研究課題/領域番号 |
17J02383
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
友部 遼 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 根ー土接触計算 / 並列計算 / 倒伏 / 斜面防災 |
研究実績の概要 |
本年度の計画として掲げた、②根混じり土の屋外及び屋内載荷試験の実施および研究目的③シミュレーションと実験結果の比較によるシミュレータの改良および実問題への適用、の二点についてはおおむね達成した。室内試験としては、前年度までに開発した薄型アクリル土槽を用いて、幼植物体スケールでの倒伏試験を行う。本試験によって変位―反力関係と変形図を得るとともに、用いた根および土の力学特性を併せて計測した。新規に購入した高精度タイムラプスカメラと小型コンピュータ群を用いて、生育時の根のイメージデータの取得と、それらを用いた高品質な解析メッシュの作製に成功し、これらを用いて再現計算を実施した。解析メッシュが大規模なものとなり、従来のワークステーションでの解析が困難となったため、並列計算ライブラリであるMPIを用いた並列計算が可能なようにソフトウェアを改良し、併せて並列計算環境を整備した。その結果、11ノードからなるクラスタの構築に成功し、66コア350GB DRAMを有する中規模な計算環境上で効率よく解析を実施するに至った。シミュレーション結果は実験結果を高精度に再現し、これまで困難であった、高精度な根混じり土の変形シミュレーションを達成した。本成果を国内学会にて報告し、併せて論文として国際誌に投稿中である。また、土壌水分の変化に応じて接触面のせん断強度が変化することを数理モデル化し新たにシミュレーションに導入し、不飽和抜根試験の再現計算に成功した。本成果も国内学会での発表とともに国際誌への投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次元条件下で高精度な根―土接触計算を達成したことで、当初の目的である転び型倒伏の予測および植物根の土に対する補強効果の予測が可能となった点は順調に進展している。一方で、登校中の論文に関しては、投稿には至ったものの、採用に向けて当初の計画よりもやや遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2次元における根―土接触計算を異なる根形状に対して適用し、パラメトリックな研究を展開するとともに、3次元の定式化を行い、3次元問題への適用を試みる予定である。また、これまでの成果をとりまとめ国際誌に論文を投稿する予定である。
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