本年度の計画として掲げた、根混じり土の屋内試験とその数値シミュレーション結果の比較に基づくシミュレータの改良と、実問題に適用する際の課題の明確化について、期待通りの進展を得た。前年度までに開発した抜根試験機、室内倒伏試験を利活用して、ダイズ植物体への高精度載荷試験を行うとともに、その高精度な再現計算を達成した。本成果は、発表時点において先行研究と比較して最も高精度な再現計算であり、その内容は地盤工学分野の国際誌Soils and Foundationsに掲載された。また、シミュレータを改良することで、サクションを制御した抜根試験の結果を数値シミュレーションで再現することに成功し、現在国際誌へ投稿中である。また、以上の成果を基に3次元問題に対応したシミュレータを開発している。加えて、当初の計画として掲げた、土木現場や農業現場に向けた社会実装を進めるため、実地盤のIoT機器によるセンシングネットワークを新たに開発し、根混じり土シミュレータと組み合わせることで植生のある地盤の崩壊リスク予測や、倒伏予察にとして活用を検討している。本内容については、まず農業現場において2020年度に実証試験を行う予定であり、2019年度中にはその実証試験の準備も行うことができた。以上により、当初3年間の計画として掲げた、ミクロな力学特性に基づく根混じり土シミュレータの開発をおおむね完了し、倒伏と減災の現場で、被害を最小化するための社会実装が開始されたことから、概ね期待通り研究が進展したと認める。
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