研究課題
世界の第一位の死因である虚血性心疾患 (CAD) は動脈硬化に起因する。動脈硬化性疾患を予知し、血管壁細胞 (内皮細胞、マクロファージ、平滑筋細胞) を直接標的にした新たな治療法を開発すべく、本研究では、新規血管作動性物質 (Chemerin、Vaspin、Vasostatin-1、Legumain) に着目し、基礎と臨床を橋渡しするトランスレーショナルリサーチを行った。1) in vitro、in vivoの検討: Chemerinの活性中心であるChemerin-9、Vasostatin-1、Legumainは、血管内皮細胞において炎症促進性及び接着因子の発現を抑制し、Chemerin-9は単球接着も抑制した。また、Chemerin-9及びVasostatin-1は、THP-1細胞由来マクロファージの泡沫化及び血管平滑筋細胞の遊走を抑制し、一方、Legumainは促進した。Chemerin-9は血管平滑筋細胞の増殖も抑制した。Chemerin-9またはVasostatin-1をApoe欠損マウスへ持続投与すると、大動脈のプラーク形成の進展は有意に抑制されたが、Legumain投与では促進傾向であった。2) 臨床研究:Vasostatin-1はヒト橈骨動脈の中膜石灰化病変に強発現していた。また、CAD患者の冠動脈硬化病変ではChemerinの発現は殆ど認められなかったが、ChemR23の発現は僅かに認められた。冠動脈におけるChemR23は非CAD患者と比べCAD患者では発現が高い傾向にあった。一方、Vaspinは非CAD患者の正常冠動脈では殆ど発現していなかったが、CAD患者の冠動脈硬化病変内に強く発現していた。CAD患者におけるChemR23及びVaspinの発現の増加は、動脈硬化の進展に抗うためと考えられた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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