• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

超対称ゲージ理論の可解性における量子代数の役割

研究課題

研究課題/領域番号 17J02745
研究機関東京大学

研究代表者

福田 真之  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワード位相的頂点 / 量子トロイダル代数
研究実績の概要

Ding-Iohara-Miki代数と呼ばれる量子トロイダル代数を用いて、refined topological vertexのpreferred directionを変更しても理論が不変であることを示した。refined topological vertexは2007年に提唱された、5次元N=1超対称ゲージ理論の分配関数の非摂動項を計算するためのツールで、trivalentなグラフに対応している。この3つ足の中で、一方向だけ他の足と違った方向があり、この方向をpreferred directionと呼ぶ。理論自体はtrivalentなグラフのうちどれをpreferred directionに選ぶかに依存しないにも関わらず、preferred directionを取り替えると分配関数の関数形が劇的に変わって見える、という問題があった。異なって見える二つの分配関数が実際は一致しているということの数学的な証明は限られた例では幾何学的になされていた。我々は今回この問題を量子代数を用いて純粋に代数的に証明を与えた。その際に、generalized Macdonald 関数と呼ばれる関数の具体形を与えるアルゴリズムを提唱した。この関数は存在と一意性は以前より証明されていたが、その具体形を与える公式を与えたのは本研究が初めてである。また、それを用いて楕円マクドナルド多項式への拡張手段も考察をはじめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

上で述べた通り、Ding-Iohara-Miki代数と呼ばれる量子トロイダル代数を用いて、refined topological vertexのpreferred directionを変更しても理論が不変であることを示した。refined topological vertexは2007年に提唱された、5次元N=1超対称ゲージ理論の分配関数の非摂動項を計算するためのツールで、trivalentなグラフに対応している。この3つ足の中で、一方向だけ他の足と違った方向があり、この方向をpreferred directionと呼ぶ。理論自体はtrivalentなグラフのうちどれをpreferred directionに選ぶかに依存しないにも関わらず、preferred directionを取り替えると分配関数の関数形が劇的に変わって見える、という問題があった。異なって見える二つの分配関数が実際は一致しているということの数学的な証明は限られた例では幾何学的になされていた。我々は今回この問題を量子代数を用いて純粋に代数的に証明を与えた。
この結果は本年度の計画には全く書いていなかったことではあるが、非常に超弦理論では重要な結果であるので当初の計画以上に進展していると言える。本年度の研究目的に記述した未達成の内容については、来年度の計画にも一部反映させている。

今後の研究の推進方策

まずはマクドナルド多項式の楕円変形をこれまで位相的頂点の知識を用いて構成する。まずそうした手法で構成された楕円マクドナルド多項式の候補がその他の楕円マクドナルド多項式の候補と一致しているかをチェックする必要がある。また、マクドナルド多項式は非常に良い性質を持っているが、こういった性質が楕円版でも成立するかは詳しく調べる必要がある。また、通常のマクドナルド多項式が量子トロイダル代数で支配されているのに対して、楕円マクドナルド多項式を支配する代数というのはよく知られていない。よって、そういう対称性をもつ代数を構成することが大目的である。また、こういった楕円マクドナルド多項式の知識はゲージ理論におけるSuperconformal Indexと呼ばれる指数に対して非常に強い予想を与える。この指数は通常3つのパラメータを持つが、この完全形はまだ予想もされていない。そのパラメータのうち一つを0にとる極限ではこの形は予想されており、マクドナルド多項式を用いて表されている。これ楕円マクドナルド多項式に置き換えることで、Superconformal Indexの完全形がわかるのではないかと予想する。この予想を確かめることも目標とする。それとは別の課題として、一昨年度に量子トロイダル代数を用いて構成したD型の箙ゲージ理論に関係したマクドナルド多項式を実際に構成する。D型のマクドナルド多項式にはD型のW代数が作用していると予想されているが、それをトロイダル代数の言葉でかけるかどうかはよくわか っていない。これを解明することも目標の一つである。D型マクドナルド多項式の一般系は知られていないが、この研究を通じてこの一般系を求めることができる可能性がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Generalized Macdonald Functions on Fock Tensor Spaces and Duality Formula for Changing Preferred Direction2019

    • 著者名/発表者名
      Masayuki Fukuda, Yusuke Ohkubo, Jun'ichi Shiraishi
    • 雑誌名

      arXiv

      巻: 1903.05905 ページ: 1-54

  • [学会発表] Blow-ups and vertex operator algebras2019

    • 著者名/発表者名
      Masayuki Fukuda
    • 学会等名
      String-Math 2018
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi