研究課題/領域番号 |
17J02878
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
柳岡 拓磨 早稲田大学, スポーツ科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
キーワード | ハーフタイム・コンディショニング / Re-warm up / 間欠性スプリントパフォーマンス / 筋活動 / エネルギー代謝 / 筋酸素動態 / 体温 |
研究実績の概要 |
本研究は球技系競技のハーフタイム中に行う後半の運動パフォーマンスの維持あるいは向上を目的としたRe-warm up(RW)について、効果的な方法を確立することを目的とする。初年度は3分間・低強度(最大酸素摂取量の30%)及び中強度(最大酸素摂取量の60%)のRWが後半の間欠性スプリントパフォーマンスに与える影響を3試行の無作為化交差試験を用い、検討した。 本試験は球技系競技を模した間欠的自転車運動を15分間のインターバル(ハーフタイム)を挟み、2回実施(前半・後半)するものとした。ハーフタイムは、15分間の安静を保つControl、最大酸素摂取量の30%(30%RW) 、60%(60%RW)のRWの3条件とした。後半は間欠的スプリントパフォーマンスを評価するCycling Intermittent-Sprint Protocol(CISP)を用いた。CISPは10秒間の休息、5秒間のスプリント、105秒のアクティブリカバリーの2分間の運動を繰り返す運動である。主評価項目として間欠的スプリントパフォーマンス(CISP中のスプリントの仕事量)を評価し、副次評価項目として筋活動(表面筋電図を用いて算出)、エネルギー代謝(呼気ガス分析[酸素摂取量・二酸化炭素排出量・呼吸交換比]、筋酸素動態[酸素化ヘモグロビン・脱酸素化ヘモグロビン・総ヘモグロビン・筋酸素飽和度])を評価した。 本研究で得られた主な知見は、1)後半開始10分間の間欠的スプリントパフォーマンスは、30%RW試行、60%RW試行でControl試行と比較し有意な高値を示したこと、2)30%RW試行は60%RW試行と同等の間欠的スプリントパフォーマンス向上効果を有していたことの2点である。本研究の結果は、後半開始後の運動パフォーマンスの向上に3分間・低強度及び中強度のRWが有効であることを示唆するものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究課題は、交付申請書に記載した「研究の目的・方法」に沿って実施した。採取した全てのデータ解析を終了し、国際学術雑誌に論文投稿中である。従って、本年度の研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果は国際学術雑誌に論文投稿中であり、来年度7月までの採択を目指す。また、研究成果の一部を、23rd European College of Sport Science Annual Congress in Dublin(国際学会)、第73回日本体力医学会大会(国内学会)で発表予定である。 来年度はより短時間のRWに着目し、研究を実施する。ハーフタイムはチームのパフォーマンスを向上させるためのグループ・個人的戦略を試合中に施す唯一の機会であり、ミーティング、治療、栄養補充など多くの戦略を実施する必要がある。それらの戦略による総合的なチームのパフォーマンス向上を考慮した場合、RWに割り当てる時間は短ければ短いほど有益であると考えられる。そこで、次年度は本年度に検討した3分間・低強度のRWとエネルギー消費量を揃えた1分間・高強度のRWが後半開始後の間欠性スプリントパフォーマンスを向上させるか、またその向上効果は3分間・低強度のRWと同等であるかを検討する。
|