研究課題/領域番号 |
17J02967
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
畑山 祥吾 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 相変化メモリ / 相変化材料 / カルコゲナイド / アモルファス / 遷移金属 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はCr-Ge-Te相変化材料の高速相変化機構の解明および不揮発性メモリへの応用であり、本年度は以下の知見を得た。 Cr2Ge2Te6化合物(CrGT)の結晶化過程について、示差走査熱量計(DSC)測定による調査を行い、アモルファスCrGTはアモルファスGSTを凌駕する熱的安定性を有しながら、GSTと同程度の結晶化速度を示すことが分かった。ここからCrGTメモリセルがGSTと同程度の数十nsでの動作が可能であるのは、結晶化速度が速いことに由来すると考えられる。また、GSTの結晶化過程では核生成が支配的な機構であるのに対して、CrGTは結晶化の初期段階のみ核生成が支配的で、大部分が結晶成長によって支配されていることが分かった。 また、CrGTは一般的な相変化材料とは逆の抵抗変化挙動を示し、特にアモルファス相の抵抗率は、他の相変化材料よりも3-4桁程度も低くその詳細は明らかとなっていない。この特異な電気特性について、ホール特性や抵抗率の温度依存性を測定し、調査した。抵抗率の温度依存性から、80-300Kではホッピング伝導、300Kを上回る温度域ではバンド伝導を示すことが分かった。加えて、ホール測定から、アモルファスCrGTのフェルミ準位が価電子帯の近傍い位置しており、キャリア生成し易いバンド構造を有しているために、抵抗率が低いことが分かった。一般的なアモルファス相変化材料は、フェルミ準位がバンドギャップの中央付近にピンニングされていることを考慮すると、CrGTの電気特性の起源は既存材とは全く異なると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CrGTの高速相変化機構の解明に向け順調に研究を進めている。これまでに、CrGTメモリデバイスの動作特性および電子状態についての調査が進んでいるため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も当初の計画通り、本研究課題を推進する。来年度は、本年度得られた知見を深めるとともに、より実用に近い数十nmオーダーまで接触面積を微細にしたCrGTメモリセルについて、動作特性の調査を行う。加えて、硬X線を用いて、価電子帯近傍の電子状態を調査し、CrGTの抵抗変化機構についての調査も行う。
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