研究課題/領域番号 |
17J02979
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
濵屋 政志 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 外骨格ロボット / 強化学習 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ユーザとロボットの相互作用を考慮した外骨格ロボットの運動支援において、未知のタスクに対しても汎化する運動支援を設計することである。この手法は、複数のタスクデータから、共通する運動支援戦略をマルチタスク強化学習で学習し、タスクごとの特徴を示した低次元のパラメータで調整することで、そのタスクに適した運動支援が可能となる。未知のタスクに対しても再学習の必要がなく、効率的に汎化運動支援を学習することができる。 本年度は、より効率的な汎化運動支援を学習するために、外骨格ロボットのモデル同定を行った。共通運動支援は複数のタスクから学習されるため、学習に必要な時間が増加することが懸念される。この問題に対して、あらかじめ設計されたロボットのモデルと、運動支援学習を組み合わせることでより効率的な学習が期待できると考えた。そこで、現在外骨格ロボットに使用されており、複雑である空圧人工筋のモデル同定に着目した。 空圧人工筋は柔軟で高出力であるが、非線形性がありモデル同定に様々な外力を加える必要がある。従来では、複数のおもりを用いて外力を与えていたが、これらの手法は効率的ではない。本研究では、ユーザとロボットが協調して空圧人工筋のモデル同定を行う手法を提案した。この手法は、アクティブラーニングを用いて、モデルにとって最も情報量の高いデータを取得するためのユーザとロボットの行動を選択する。また、ユーザが適切な行動を行えるように、視覚フィードバックシステムを構築した。提案手法を肘関節空圧人工筋駆動の外骨格ロボットに導入しモデル同定実験を行った結果、従来手法よりも効率的にモデルが同定できることを示した。また、提案手法のモデルは従来使用されているパラメトリックモデルよりも精度が良いことが確認された。この研究成果は査読付き国際会議論文に採択され、発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ユーザとロボットの相互作用を考慮した外骨格ロボットの汎化運動支援の効率的な学習に向けて、空圧人工筋のモデル同定に着目した研究を行った。アクティブラーニングという機械学習技術と視覚フィードバックシステムを用いて、ユーザとロボットが協調して空圧人工筋のモデル同定を行う手法を提案した。提案手法を肘関節駆動外骨格ロボットに導入した結果、従来手法より効率的な同定ができることを示した。この研究結果は査読付き国際会議論文に採択され、発表を行った。以上の理由により、特別研究員の研究進捗状況は期待通り研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、空圧人工筋の協調同定に関する研究を行い、効率的な同定が可能であることを検証した。次年度は、アルゴリズム部分を再検討し、より一般化された手法を実装し、複数の被験者でも有効性が確認できるかを実験する。得られた実験結果をもとに国際論文誌の投稿を予定している。 次に、ユーザとロボットが協調して同定した空圧人工筋のモデルを汎化運動支援学習に組み込み、効率的に学習ができるかを検討する。具体的には、空圧人工筋のモデルを加えた上で、ユーザとロボットの相互作用モデルを学習し、マルチタスク強化学習を導入する。提案手法の有効性を検証するために、複数名の被験者実験を行い、未知のタスクにおいてもユーザの負荷が軽減され、効率的に汎化運動支援が学習できるかを検証する。実験の結果をもとに次年度の後半に国際論文誌に投稿する予定である。
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