研究課題/領域番号 |
17J03204
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
仲村 康秀 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | フェオダリア / ケルコゾア / リザリア / 群集構造 / 単細胞動物プランクトン / プランクトン / 海洋生物 / バイオミネラリゼーション |
研究実績の概要 |
本研究では水産学的・海洋学的に重要であるが情報が乏しいフェオダリア類(単細胞動物プランクトン)に注目し、本グループの分布と多様性の解明を目的として研究を進めている。 分布の解明に必要な試料を入手するため、前年度に引き続きフィールド調査を行った。7月には千葉県勝浦沖 (黒潮流域) にて、11月には北太平洋にてプランクトン採集を行った。10月には、北海道大学水産学部に滞在し、北太平洋広域から得られたプランクトン試料を顕微鏡観察し、データを蓄積した。さらに、中央水産研究所から拝借した試料を分析し、フェオダリア類の北太平洋・フィリピン海における分布を一部明らかにした。以上の分布に関する研究成果は、国内学会・国際学会にて発表した。 フェオダリア類の多様性を解明するために、DNA分析を精力的に行い、これまで別の科とされていたものが実は同じグループであり、従来の科が生活史の異なるステージである事を明らかにした。この成果は国内学会にて公表した (現在、論文を執筆中)。また、愛媛大学、甲南大学および海洋研究開発機構と共同で、フェオダリア類各種の形態的な特徴を解明に取り組んだ。収束イオンビーム加工とEDS分析およびマイクロX線CTなどの最新手法を用いて、各種の骨格構造を精査した。結果として、フェオダリア類と近縁なグループ (放散虫など) とでは骨格の微細構造が大きく異なる事、その違いは生態的な戦略の違いに由来する事などを明らかにし、成果を学術雑誌にて報告した。 以上の研究成果とこれまでの研究は日本プランクトン学会で高く評価され、日本プランクトン学会奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分布の解明については定期的なフィールド調査を行っており、必要な試料はほぼすべて入手できており、顕微鏡観察も半分ほどが完了している。また、多様性の解明については、形態的多様性の解明 (論文化済み)、系統関係の解明 (学会発表済み) などの成果が得られた。そのため、本研究は現在まで順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は国内でのみフィールド調査を行う予定であり、神奈川県沖 (5月)、北海道沖 (7月) が決まっている。北海道大学水産科学院に滞在し、過去の航海で北極海から得られたプランクトン試料を顕微鏡観察し (6月, 11月)、これまでに得られたデータと合わせて、分布に関する論文を執筆する。また、水中撮影装置の画像データを用いた論文を執筆する。次世代シークエンサーによる環境DNA分析とフェオダリア類各種のDNA分析に関する成果をまとめ、多様性と系統関係に関する論文を執筆する。研究成果は3つの国内学会 (プランクトン学会、海洋学会および原生生物学会)、1つの国際学会 (国際原生生物学会) にて公表する予定である。
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