研究課題/領域番号 |
17J03297
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
山野 彰夫 和歌山大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 自励振動 / 固有値解析 / バイオミメティクス |
研究実績の概要 |
下水道管内を推進するような推進体を対象にし,センチュウの適応運動を参考にして様々な流路環境での推進を実現するような制御則の構築を研究目的とする.研究実施計画に従い,初年度は(方法1)"局所フィードバックによる適応運動の役割の解明"および(方法2)"適応運動のメカニズムに基づき適応制御則を構築"について研究を行った. 【研究成果】 (方法1):センチュウの数値解析モデルを基に,局所フィードバックが様々な環境下での推進速度の向上に貢献するかを評価した.抗力係数のパラメータを水中相当から寒天中相当まで変化させながら,適応運動を考慮しない場合と適応運動を考慮した場合について15 s間の重心移動距離について注目し評価を行った.局所フィードバックにより様々な抗力の条件に対して周期外力による推進よりも大きな推進速度を発揮できることを確認した.センチュウの適応運動を推進体の制御に応用することで,様々な抗力の条件に対して大きな推進速度を維持できることが期待できる. (方法2):センチュウが後部のひずみを前方にフィードバックさせることにより自励振動が誘起され,うねり運動が生成されるという仮定に基づき,推進体の制御手法では後部の相対角を前方のアクチュエータにフィードバックさせることで自励振動を誘起させる手法を検討した.この手法では,うねり運動が推進体のパラメータに強く依存することになるため,うねり運動の設計において推進体パラメータとうねり運動の間の関係を把握する必要がある.本研究では,推進体・流体パラメータとうねり運動の間の関係を明らかにするため,連成モデルを線形化し固有値解析を行う手法を提案した.提案手法により,関節剛性及びフィードバックの時間遅れによりうねり運動を調整できることが示された.提案手法はうねり運動の周波数や波長の設計に応用することが期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究目標であったセンチュウの局所フィードバックの役割の解明について,数値解析モデルにより様々な流体の抗力の条件下に対して周期外力による推進よりも大きな推進速度を発揮できることを明らかにした. この適応運動が自励振動に由来するという仮説から,リンク機構の推進体においても同様の自励振動を誘起させるフィードバック系を構築するという制御則を提案し,固有値解析により推進体パラメータとうねり運動の関係を明らかにした. 以上の研究成果を査読付き国内会議で発表しており,おおむね研究が進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究では,うねり運動の周波数と波長の設計手法について検討を行った.様々な流路環境下で効率的な推進を実現するためには,設計目標として適切な周波数と波長を各流体の条件ごとに探索する必要がある. 次年度は,まず推進体の実験モデルを構築し,初年度に構築した数値解析モデルが妥当であるかを評価する.次に,数値解析モデルを用い,推進特性を評価する評価規範を定めたうえで各流体の条件ごとに最適なうねり運動の探索を試みる.流体の条件と最適なうねり運動の関係を元に,この関係を再現可能な適応運動の制御パラメータの探索を試みる.
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