本研究では,ユーザや開発プロセスに直接的に重大な影響を及ぼす不具合 (High Impact Bug) の検出手法の構築を目指している.本研究は次の3つに大きく分かれる:①ソフトウェア開発データの分析や開発者にインタビュー調査を実施し,「High Impact Bugの特徴」を体系化②体系化を元にHigh Impact Bugの検出手法を構築・評価③High Impact Bugの検出手法を,タスクの割当て手法に取り込み,有用性を評価. 本年度では,②「High Impact Bug検出手法の構築」において構築したモデルをバグトリアージ手法に取り込み,「より優先度の高い不具合を,より優秀な開発者にタスクを割当てる手法」を構築した.本年度に実施した詳細を以下に示す. 【1.タスクの優先度を考慮した不具合修正タスクの割当て手法の構築】 High Impact Bug検出手法を組み込むために,不具合修正タスクの優先度を考慮した割当て手法を構築し,割当手法単体で評価した.本手法では,それぞれのタスクにおいて各開発者が適任である確率を機械学習を用いて求めており,それを優先度で重み付けし,より優秀な開発者により優先度の高い不具合が割り当たるように設計している.評価実験の結果,既存手法を用いた場合と比較し,提案手法は高優先度の不具合を優秀な開発者に割当てられることを確認した. 【2.High Impact Bug検出手法を組み込んだ割当手法の実用性評価】 次に,昨年度に構築した「High Impact Bug検出手法」で出力するタスクの優先度を利用し,上述の割当て手法でタスクを割当てた.評価実験を通じて,High Impact Bugの検出手法を用いた場合でも,修正すべき高優先度の不具合を残すことなく,リリースまでにより多くの不具合を修正できることを確認した.
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