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2019 年度 実績報告書

集団全体の寛容性が社会的学習に及ぼす影響についての実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 17J03435
研究機関大阪大学

研究代表者

貝ヶ石 優  大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワード寛容性 / ニホンザル / 種内変異 / 社会進化 / 社会的学習 / 協力
研究実績の概要

研究計画に沿って、2017年6月から2020年3月までに収集した個体追跡法による行動データをもとに、淡路島ニホンザル集団の個体の示す寛容性の高さについて、行動学的に評価を行った。寛容性の高さの指標として、攻撃的交渉の激しさ、攻撃を受けた個体が攻撃者に反撃する頻度、そしてsilent bared-teeth display (SBT) と呼ばれる劣位の表情が用いられる社会的文脈に着目した。攻撃的交渉に関して、順位関係が厳格で寛容性の低い通常のニホンザルでは、相手に外傷を負わせるような激しく一方的な攻撃が生起しやすい。しかし淡路島ニホンザル集団では、相手に噛みついたり激しく追い立てたりといった攻撃はほとんど生起せず、ほとんどの場合相手に対して威嚇するのみであった。ただし攻撃を受けた個体が相手に攻撃することは非常にまれであり、この点は通常のニホンザルと共通であると考えられた。また通常ニホンザルではSBTが常に低順位個体から高順位個体に対して用いられるが、淡路島ニホンザル集団においても同じく、全てのSBTが低順位から高順位個体に対して表出されていた。以上より、淡路島集団ニホンザル集団では、個体間に厳格な順位関係が存在するものの、攻撃性は非常に低く、通常のニホンザルには見られない寛容な社会を形成していることが示唆された。本研究課題でこれまで明らかにしてきた、観察学習による行動の個体間伝播や食物分配などの向社会的行動の基盤には、このような特異的な寛容性が関わっていると考えられる。

現在までの達成度 (段落)

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和元年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] High but not low tolerance populations of Japanese macaques solve a novel cooperative task2019

    • 著者名/発表者名
      Yu Kaigaishi, Masayuki Nakamichi, Kazunori Yamada
    • 雑誌名

      Primates

      巻: 60 ページ: 421, 430

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/s10329-019-00742-z

    • 査読あり
  • [学会発表] 淡路島ニホンザル集団における順位構造の分析2019

    • 著者名/発表者名
      貝ヶ石優, 山田一憲, 中道正之
    • 学会等名
      第35回日本霊長類学会大会
  • [学会発表] Intraspecific variation in the degree of fission-fusion dynamics in Japanese macaques (Macaca fuscata)2019

    • 著者名/発表者名
      Yu Kaigaishi, Kazunori Yamada, Masayuki Nakamichi
    • 学会等名
      Behaviour 2019
    • 国際学会
  • [備考] 淡路島のニホンザルが教えてくれた“優しい社会”協力行動は“寛容性”から生まれる

    • URL

      https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2019/20190930_1

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公開日: 2021-01-27  

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