本研究では、効率的なタンパク質化学合成法の開発を基盤としたケモカインCXCL14の機能発現機構の解明と創薬への展開を目的としている。申請者の研究グループは、CXCL14が細菌などに含まれる非メチル化CpG DNAを細胞外から細胞内エンドソーム・リソソーム中のTLR9に運搬する運び屋分子として機能し、免疫反応を増強することを明らかにしている。しかし、一連の免疫活性化におけるCXCL14の重要なドメインであるDNA結合ドメインおよび受容体認識ドメインは明らかになっていない。そこでCXCL14の活性発現に重要なドメインを同定するために、今年度は申請書で示した通り、CXCL14のN末端領域である1-50残基に各種改変を導入したCXCL14誘導体の合成を行い、in vitro実験により活性発現に重要な構造ドメインの絞り込みを行った。その結果、N端領域中の二つのループ領域が、DNA結合ドメインおよび受容体認識ドメインであることを見出した。また、各種合成したCXCL14誘導体の活性評価の結果より、CXCL14による免疫活性化がCXCL14構造中の47残基だけでも再現可能であることを見出し、CXCL14の小分子化を行った。さらに、CXCL14-CpG DNA複合体のX線結晶構造解析実験および、in vivo実験のために、前年度までに確立したCXCL14の合成法を基盤とし、CXCL14誘導体の大量合成を達成した。
|