研究課題
当該年度では、2本の査読論文を出版した。太陽より8倍以上重い星である大質量星の誕生直後の暖かいガスの中の化学組成について、今まではあまり着目されていなかった、炭素原子が複数連なった炭素鎖分子の化学について調べてきた。アメリカのVery Large Array干渉計を用いて、大質量原始星周辺において、炭素鎖分子のシリーズの一つである、シアノポリインシリーズ (HC3N, HC5N, HC7N)の空間分布を調べる観測を行った。この観測結果から、シアノポリインは、JCMT望遠鏡のSCUBAで得られた450μmの暖かいダストの空間分布とよく一致することがわかった。また、Spitzerの赤外線のイメージと合わせ、このダストの中には、誕生直後で深く埋もれた、中小質量原始星あるいはその集団があるのではないかと推測した。以上の結果より、シアノポリイン分子が暖かいガスの中で、ダストから昇華してきたCH4やC2H2を元にして生成している可能性を示唆した。さらに、大質量原始星由来のアウトフローの部分にコンパクトなシアノポリインの分布も発見した。国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45m望遠鏡とチリ観測所のASTE望遠鏡を用いて、3つの大質量原始星の観測を行った。3天体の化学組成の比較を行い、有機分子が豊富なコアを持つ天体はメタノールを多く含む暖かいエンベロープに、有機分子が少ないコアはHC5Nが豊富な暖かいエンベロープに囲まれているとわかった。これは大質量原始星周辺の化学的多様性の可能性を示唆するものである。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
The Astrophysical Journal
巻: 866 ページ: 32~32
https://doi.org/10.3847/1538-4357/aadd0c
巻: 864 ページ: 82~82
https://doi.org/10.3847/1538-4357/aad62f
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