"鳥類の足根中足骨の遠位端の機能解析~恐竜と古鳥類の歩様の推定~"鳥類の下肢で最大の構成要素である足根中足骨は,その遠位端が趾骨と関節するため3又構造になっている.この骨をCTでスキャンして,3次元データを取得した.Mayaを用いて矢上面上での骨のshaftを0°と設定し,-90°から90°まで回転させ,遠位端の両端の軸に挟まれる角度を連続的に計測した.そして,鳥類を6つの機能カテゴリで分類した.これらのカテゴリにはサイズ効果はあるが,複数の検定を実施した結果,比較的明瞭に機能カテゴリに分かれた.これら3変数を用いてLDAを実施した.判別得点は85%と高かったので,獣脚類と古鳥類の化石の推定を実施した. "鳥類の踵関節の最大モーメントアーム解析による姿勢推定"鳥類の下肢の関節は,関節に腱が回り込むという点で特別である.腱が回り込めば,腱が関節運動に干渉するので,モーメントアームの挙動が理論的に推測しにくい.鳥類の踵関節は,脛足根骨の遠位端と足根中足骨の近位端とが関節している.腱を脛足根骨のshaftに対して平行に引っ張ると,足根中足骨は背屈から底屈に向かう.この方法を用い,関節角度と腱の移動距離を計測した.機能カテゴリ別に,最大モーメントアームを取る角度とそれと一致する運動姿勢を調べた. "CT撮影により軟組織を計測するための手法開発"近年,CT撮影による非破壊的な解剖手法は,技術が進んでいるが,染色による軟組織の識別とその収縮についての知識の蓄積はまだ充分でない.軟組織の識別のためには,薬剤による充分な染色が必要であるが,薬剤による染色は軟組織収縮の原因となる.体サイズがほぼ同じキジの脚を切り出し,ルーゴル液10%を作成し,5つの条件を準備した.他に,肉眼解剖で染色なしのキジの脚を解剖し,それぞれ筋重量の計測をした.現在,一部,筋骨格系モデルの構築が終了した.
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