1. 超音波吸収の可視化による治療前の加熱領域推定 音響放射力により導入された組織変位の分布から,超音波吸収領域を推定し加熱凝固を事前予測することが可能であり,その推定精度は分布取得の瞬時性に伴い向上させることができる.変位導入後に取得した2分布に対し各ピクセルにおいて変位量を時間領域で線形外挿することにより得られる推定瞬時分布は,可視化用の照射と同強度のHIFUを長時間照射することで生じた組織凝固を高い精度で予測した.本手法の妥当性を加振パルスに対する組織応答の数値計算によって評価した結果,外挿ではなく変位導入後2分布間の差分を以て高精度予測が可能であり,差分値の正負の差異が予測限界になるとの示唆を得た.またキャビテーション気泡援用加熱法に対し同手法を適用し,変位量の増大から気泡による加熱増強効果を見積もることが可能であることが示唆される結果を得た.本手法の結果をリアルタイムに表示し,治療対象の観察用表示モードとシームレスに繋げるようなシステムの実装を行い,臨床適用可能性を検討した. 2. 3パルス法を用いたキャビテーション気泡の選択的イメージング 超音波プローブに印加する電圧波形を設計し,位相差を120°有する3つの超音波パルスを送信可能とした.各送信波に対するエコー信号を加算することで,受信散乱信号から非線形伝播由来の逓数倍高調波を抑制し,気泡エコーに特異的な1.5倍高調波を抽出できることを確認した.HIFUにより生体模擬試料中に導入したキャビテーション気泡に対し,通常の1位相パルスを用いたイメージング,従来のハーモニックイメージングと比較して,提案法は有意に高い組織/気泡コントラストを示し,気泡の選択的イメージング法を実現した.
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