本研究では、東アジアの近世、とりわけ中国の明清時代にかけて仲介業の経営構造を取り上げ、それが近世中国においてどのように変遷したのかを解明することを目標としている。2018(平成31)年度の研究実績: ① 前期においては、明代と清代における牙行制度の連続・継承性問題に考察を加え、その成果を中国の雑誌『蘇州大学学報』に論文「従明末牙行換帖銀的起徴看牙行制度的清承明制」として投稿した。 ② 後期においては、水運業者の支配者である「埠頭」を対象に、その経営実態と国家からの彼らに対する管理制度を検討し、これまでに明らかにしてきた「牙行」との異同について詳細に分析を加えた。この成果は、2019年度の社会経済史学会第88回大会において発表を行う。 意義と重要性: 第①部分の研究では、明清牙行制度の継承性に対する先学らの認識に修正を加えたと同時に、明代北京商人層の経営実態に関する研究に、新たな検討視角を開いた。第②部分の研究によっては、埠頭の機能が明清時代にかけでどのように変遷したのか、国家の運送業・仲介業に対する管理制度がどれほどの区別を有するのかなど、より具体的な検討が可能になる。
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