研究課題/領域番号 |
17J03941
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
篠原 亜佐美 名古屋大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 子ども / 就学前後 / 発達 / うわさ / 協力社会 / 向社会行動 / 信頼 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究計画1である、子どもがゴシップを利用して第三者評価をおこなうか、また、いつからゴシップを利用することができるのかについて、5歳児・7歳児を対象に実験をおこなった。ポジティブ、あるいはネガティブなゴシップを子どもが聞いたとき、第三者にどの程度の向社会行動・信頼行動を示すかを検討した。結果、(1)ゴシップを第三者評価に利用することができるのは7歳児であること、(2)ポジティブな内容のゴシップよりもネガティブな内容のゴシップに対してより敏感であることが示された。7歳児は、ネガティブなゴシップを利用することはできるが、ポジティブなゴシップが7歳児の向社会行動・信頼行動に影響を与えることはなかった。これは、ヒトの生存おける、ネガティブな他者を避けることの重要性とかかわっていると考えられる。また、(3)7歳児は、自分に利益がもたらされる場合にはよりネガティブなゴシップに敏感であることも示された。成人の先行研究では、集団内の協力行動を維持・促進するというゴシップの重要性が指摘されている。しかし、ヒトがいつからゴシップを利用することができるかについて、その発達プロセスは解明されていなかった。本研究の結果により、7歳児はすでにゴシップを利用できるということが分かった。今後の研究では、なぜ5歳児がゴシップを利用することができないのか、認知能力について検討するとともに、ゴシップの信憑性等を操作して検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、幼児期・児童期の子どもの協力行動における評判・ゴシップの役割を検討することを目的としている。本年度は研究計画1の「子どもは成人と同様に噂を介して評判を形成するのか」について、5歳児・7歳児128名を対象に行動実験をおこなった。研究計画1については、30年度の国際会議での発表が決まっている。また、新たな研究をおこなうための予備調査もおこない、30年度からスムーズに実験を始められるような準備もおこなった。残り2年で、研究計画2、3の実施をしていく予定であり、おおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も幼児期・児童期の子どもの協力行動における評判・ゴシップの役割を検討することを目的とし、行動実験をおこなっていく予定である。まず、29年度におこなった予備調査を踏まえて、子どもが評判を介した協力社会の仕組みについて理解をしているかどうかについて、実験をおこなう予定である。また、29年度に取得したデータについて、国際雑誌に投稿し、採択を目指す。30年度に集中してデータを取得し、研究課題終了までに国際雑誌への投稿を予定している。
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