本年度に予定していたfMRI研究は実施が難航し、計画を変更して研究を進めることとなった。昨年度までの研究において,自己参照や非機能的スキーマを基盤とする概括的な記憶の直接検索が抑うつと強く関連することが明らかとなってきたため,この知見を拡張すべく,大うつ病患者やコミュニティサンプルを対象に,抑うつと直接検索・無意図的想起に関するデータを取得を実施した。これらの結果は仮説を支持するものであり,抑うつ群では概してネガティブ記憶の直接検索・無意図的想起が多かった。 また、これらの研究の一環として、自伝的記憶の詳細さを測定するAutobiographical Interviewの翻訳や、自伝的記憶プロトコルの自然言語処理技術の開発を進めた。これらの手法は今後の研究応用が見込まれ,次なる研究テーマへと結びつくものであると認識している。 さらに,本年度は当該研究課題の最終年度にあたるため,研究の集大成となるレビューの作成と,これまでの成果についての発表を行った。研究成果は,国際誌に2本発表された(Cognitive Therapy and ResearchおよびJournal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry)ほか,国際学会や研究会4件において発表された。レビュー論文は執筆済みであり,共著者の最終確認が取れ次第,投稿へ移る予定である。
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