研究課題/領域番号 |
17J04129
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黄 竹佑 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 語形成 / 複合語アクセント / 日本語 / トーン・メロディ対応関係 / 台湾語 / 東京方言 / 韻律情報 |
研究実績の概要 |
平成30年度は前年度と同様に語形成における超分節的要素の保存を焦点に当て、複数の言語で研究を進めてきた。まず、東京方言の複合語のプロセスにおける韻律情報(すなわちアクセント)の保存、また左側の要素がアクセントを決める語を調べ、複合語アクセントと主要部の関係について理論分析や調査を実施してきた。 アクセントが弁別的である言語の多くは、複合語を形成したときに、前部要素か後部要素のアクセントで複合語のアクセントを予測することができる。日本語東京方言の複合語は従来、アクセントが右側の後部要素によって決められると言われている。しかし、一連の研究によって左側の要素もアクセントを決めることがあるということが判明した。ではなぜ左側の要素がアクセントを決める力を持つかというと、左側の要素が語の内部構造にいては主要部であるからなのではないかと考えられる。しかし、主要部の定義はまだ議論する余地があるため、実例を収集し、複合語アクセントと主要部の関係を慎重に検証する必要がある。本研究は昨年度に右側要素主導型以外のデータを収集し、従来の理論で分析してみた。複合語アクセント規則を再考し、左側主要部の語のアクセント規則を一般化する試みもした。 そして超分節的要素が弁別的である他の言語(いわゆる他の声調・アクセント言語)でも、台湾語のトーンとメロディーの関係を調べ、声調がどのようにメロディーで保存されるかを統計分析によって明らかにした。有標性制約が声調の保存において大いに関わることがわかった。 当該年度に実施した研究調査により、超分節的要素が複合語やメロディーなど異なるコンテクストでどのように保存されるかを垣間見ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は平成30年度、予定通りに日本語東京方言のデータを整理し、更に左側主要部の複合語の考察を行い、韻律階層ではどのように実現されるかを従来の理論の枠組で解釈した。行った分析を学会などで発表し、多くの意見を得られた。台湾語の調査のほうでも台湾で楽譜などを入手し、声調とメロディーの関係について調べ、国際学会で発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
語形成における超分節的要素の保存は様々な言語で起きる現象である。この研究課題は当初、日本語や台湾語など超分節的要素が弁別的である言語における韻律情報の保存を広く考察し、一般化する試みをしようとしたが、今年度はそれだけではなく、一つの言語の中でどのような保存現象が観察されるかについて記述・分析する予定である。主に東京方言の左側主要部の複合語アクセントに注目し、複合語アクセント規則の補完、そして理論的に考察することを目標にしている。また、調査においては辞書の資料だけでなく、母語話者のデータも収集する予定である。
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