研究課題/領域番号 |
17J04200
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
逢澤 正嵩 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 太陽系外惑星 / トランジット / ケプラー宇宙望遠鏡 / 惑星リング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高精度なケプラー衛星データを用いて、太陽系外惑星リングの発見及び、惑星リングの存在頻度、サイズに制限を与えることである。また、観測的な制限を理論的な予言と比較することで、惑星リングの形成頻度に制限を与え、未だ不定性が大きい太陽系内の惑星リングの形成論に制限を与えることも目指している。本年度は、ケプラー衛星データを用いた太陽系外惑星リングの系統的な探索を進めた。我々はまず、土星のリングが発見できるほど雑音が小さいデータを持つ168個の惑星およびその候補を選び出した。そしてそれらの惑星食の光度曲線を適切に処理した後、それぞれの光度曲線を、惑星リング食モデルおよびリングなしモデルで解釈して、惑星リングの兆候を探索した。結果として29の系でリングモデルが統計的に有意なフィットを与えたが、その後の詳細な解析によって、どの信号も惑星リング由来である蓋然性が低いことが判明した。このことは、惑星リングがケプラー惑星の大多数を占める短周期惑星の周りで比較的不安定であること矛盾しない。兆候が有意にみつからなかった系に対しては、惑星リングのサイズに制限をあたえた。また、その結果を用いて土星程度の大きさを持つ惑星リングが存在する確率が15% 以下であることを示した。これらの結果は、太陽系外惑星リングに対する初の定量的な統計的制限であり、惑星リングの形成を論じる上で重要な示唆を与えることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はケプラー衛星が取得したデータを用いて、惑星リングの兆候を網羅的に探索した。その結果、新たな系外惑星リングの兆候は発見できなかったものの、当初の目的であった惑星リングの存在頻度に上限の導出に成功した。これは当初の予定以上の進展であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度でケプラー衛星のデータ解析はほぼ終了したので、今後は2018年4月に打ち上がったTESS衛星のデータ解析を行う予定である。データ公開までは、惑星リングの兆候を自動的に探査するプログラムを整備する。また、申請者のグループが発表した惑星リング候補を対象としたハワイでの追観測が7月に予定されており、その分光データおよびGAIAのデータを用いて、リング候補の性質をより詳細に同定する。加えて、惑星リングの形成頻度および寿命の理論的な見積もりをおこない、観測的な制限と矛盾しないかを検証する。
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