本研究の目的は、高精度測光衛星Keplerが取得した数年にわたる20万の星の明るさの変動のデータを用いて、太陽系外惑星リングを探索し、その性質に制限を与えることである。主目的である、惑星リングの探索およびその解釈に関する研究は既に遂行し終わったので、今年度は引き続き惑星リングに関する研究を発展させるとともに、他の複数の研究課題も並行して進めた。具体的な進捗状況を以下にまとめる。 (a) Tomo-e Gozenを用いた光度曲線解析のためのパイプライン作成を行い、実際の取得した数晩のデータに適応しデータ解析をスタートした。サイエンスターゲットとしては、白色矮星周りを回る惑星のトランジットや、数秒のタイムスケール高速回転をする白色矮星であり、これからも引き続き解析および観測を続け、これらの天体の発見をめざす。 (b) ALMAによって観測された原始惑星系円盤の軸の向きの相関を各星形成領域で調査し、Lupus IIIという領域でmarginalな相関が見られたこと以外はほとんど無相関であることを確認した。 (c) 将来の直接撮像観測では第二の地球の地図が作成できることが期待されているが、その方法論の中にスパースモデリングを組み込めることを提案し、その有用性をシミュレーションで検証した。また、実際の地球の反射光のデータを用いて、既存の手法よりもよりよく地球の地形分布を再現できることを検証した。加えて、将来の直接撮像で想定されているノイズレベルの観測を仮定し、月に1日の観測を2年間続ければ、第二の地球の地図を作成できうることを実証した。
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