研究課題
本年度は、集積化マイクロ流路冷却機構として提案していた高電圧生成回路と電気浸透流マイクロポンプの集積化を実現し、電気浸透流マイクロポンプを利用して実際に冷却効果があるかを実験的に計測した。集積化マイクロ流路機構は、MEMS後加工高耐圧化CMOS素子による高電圧生成回路を発展させたもので、同高耐圧化技術による昇圧するCMOS集積回路と、金電極を用いた電気浸透流マイクロポンプを同一シリコンチップに集積し、PDMS流路を接合することで構造を実現した。マイクロポンプの最高流速は、137μm/sであり、印加電圧あたりの単位断面積あたりの流量としてみると、先行研究の3倍となり、非常に大きな利点があることが分かった。以上により、従来別途高電圧電源が必要であったのに対し、5 Vという小型電池で供給できるレベルの低電圧で駆動を行うことができ、高効率な電気浸透流マイクロポンプデバイスを実現できた。次に、電気浸透流マイクロポンプを利用して実際にどれくらいの冷却が行えるかを実験的に計測した。計測チップでは、温度計測と温度上昇を任意に行えるよう、CMOSプロセスで作製した抵抗型温度センサとマイクロヒーターを内蔵している。マイクロヒーターには、プロセッサーのホットスポットと同程度の電力を投入し、温度上昇を計測した。この計測により、電気浸透流を流している時は、マイクロポンプに100V印加した時は流していない時に比べ温度が0.4℃程低くなることが分かり、冷却モードとして2つ存在するということが分かった。流量が少ない時は、熱源からSi基板への伝熱効率を上げており、流量が十分な時は対流も十分に寄与し、伝熱と対流により冷却が行われているということが分かった。以上のように、本研究では、高電圧生成回路を内蔵した高機能電気浸透流マイクロポンプの性能及びその冷却効果を示し、概ね当初の計画通り研究を進めることができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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