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2018 年度 実績報告書

竹食および土食がジェントルキツネザルの腸内細菌に及ぼす影響の検証

研究課題

研究課題/領域番号 17J05040
研究機関中部大学

研究代表者

澤田 晶子  中部大学, 創発学術院, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワード採食生態 / ジェントルキツネザル / 腸内細菌
研究実績の概要

マダガスカル固有の小型霊長類であるジェントルキツネザルは竹に依存した極めて特異な採食戦略をとる。採食対象である竹の中には猛毒な青酸化合物を含む種もあり、とりわけ嗜好性の高い部位であるタケノコからは高濃度で検出される。解毒メカニズムを明らかにする手がかりとして、本研究では腸内細菌と有毒な竹食の関係に着目した研究をおこなっている。前年度から引き続き、ジェントルキツネザル3種(ハイイロジェントルキツネザル:Hapalemur griseus、キンイロジェントルキツネザル:H. aureus、ヒロバナジェントルキツネザル:Prolemur simus)の糞便を用いて腸内細菌16Sメタ解析をおこなった。有毒な竹への依存度が異なる野生個体(保護区、非保護区)および飼育個体の比較検証をおこない、食性と腸内細菌パターンの関連性について英語論文を執筆し、投稿準備中である。また、霊長類がどのようにして摂取した植物毒を分解しているのか、生理学的メカニズムを解明する手がかりとして、糞便を用いた腸内細菌の培養実験を実施した。設備の限られた海外調査地では培養実験の実施が困難であったことから、日本国内で野生ニホンザルを対象とした実験をおこなった。今後は、培地の安定性など方法の検討・改善を重ね、より精度の高い手法の確立を目指す。今後は、野生個体だけでなく、飼育環境の異なる飼育個体からも採材し、植物性食物の摂取頻度と分解能の関連性について検証を試みる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

食性と腸内細菌における種間比較研究はおおむね順調に進展しており、学会にて研究成果を公表した。一方、当初の計画にはなかったHPLC用カラムオーブンならびに高額試薬購入の必要が生じたため、本来2回の予定であった海外調査を1回しか実施することができなかった。しかし、これまでに採取した試料とあわせることで種間差、地域差および季節差を議論するに必要な試料は採取できていることから、研究計画に大幅な変更を生じさせることなく研究目的を達成できるものと考える。

今後の研究の推進方策

食性と腸内細菌における種間差および地域差に関してこれまでの研究成果を論文にまとめる。輸出許可証が発行され次第、日本に試料を持ち帰ってメタゲノム解析を実施し、季節差について解析する。土壌のメタゲノム解析を実施して土食がもたらす腸内細菌叢への影響について調べる。野生および飼育霊長類の糞便を用いた培養実験も実施し、植物性食物の摂取頻度と分解能の関連性について検証を試みる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] First report of foregut microbial community in proboscis monkeys: are diverse forests a reservoir for diverse microbiomes?2018

    • 著者名/発表者名
      Hayakawa Takashi、Nathan Senthilvel K. S. S.、Stark Danica J.、Saldivar Diana A. Ramirez、Sipangkui Rosa、Goossens Benoit、Tuuga Augustine、Clauss Marcus、Sawada Akiko、Fukuda Shinji、Imai Hiroo、Matsuda Ikki
    • 雑誌名

      Environmental Microbiology Reports

      巻: 10 ページ: 655-662

    • DOI

      10.1111/1758-2229.12677

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Improving the standards for gut microbiome analysis of fecal samples: insights from the field biology of Japanese macaques on Yakushima Island2018

    • 著者名/発表者名
      Takashi Hayakawa, Akiko Sawada, Akifumi S. Tanabe, Shinji Fukuda, Takushi Kishida, Yosuke Kurihara, Kei Matsushima, Jie Liu, Etienne-Francois Akomo-Okoue, Waleska Gravena, Makoto Kashima, Mariko Suzuki, Kohmei Kadowaki, Takafumi Suzumura, Eiji Inoue, Hideki Sugiura, Goro Hanya, Kiyokazu Agata
    • 雑誌名

      Primates

      巻: 59 ページ: 423-436

    • DOI

      10.1007/s10329-018-0671-x

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ジェントルキツネザル3種における採食パターンと腸内細菌叢2019

    • 著者名/発表者名
      澤田晶子、Isabelle Clark、Tsinjo Andriatiavina、Onjaniaina Ramilijaona、Brigita Tsavohitra、早川卓志
    • 学会等名
      第35回日本霊長類学会大会
  • [学会発表] 屋久島におけるニホンザルとニホンジカの異種間交渉2018

    • 著者名/発表者名
      澤田晶子、西川真理、中川尚史
    • 学会等名
      第34回日本霊長類学会大会
  • [学会発表] 最新技術を用いたニホンザル研究の将来2018

    • 著者名/発表者名
      澤田晶子
    • 学会等名
      屋久島学ソサエティ第6回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] パンダのような霊長類:ジェントルキツネザルの腸内細菌叢2018

    • 著者名/発表者名
      澤田晶子、Isabelle Clark、Onjaniaina M Ramilijaona、早川卓志
    • 学会等名
      第63回プリマーテス研究会

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公開日: 2019-12-27  

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