研究実績の概要 |
課題①「浅海&深海域に生息する多毛類の複数分類群に渡る収集・分類学的位置と系統関係の把握」 深海域にアクセスするためにはドレッジおよび潜水艇による調査が必要である.調査航海等に積極的に参加し,また潜水艇による調査航海を実施することにより,出来る限り多くの分類群の多毛類標本を集めることを目的とした.また,各研究機関および博物館に保存されている標本も活用した.具体的には, 各大学・研究機関において行われる調査航海に参加し,標本を現地にて形態観察用にパラホルムアルデヒド・分子実験用に70%エタノールで固定し,その後研究室にて観察・解剖・遺伝子配列の決定を行った. 日本各地(相模湾・熊野灘・九州パラオ海嶺)およびアリューシャン列島においてサンプリングを行った.最大水深は2000mである.南西諸島海溝の5000m地点は航海計画の変更により2018年度に実施する.また,比較対象として浅海域(北海道・青森・千葉・沖縄)においてもサンプリングを行った.これらのサンプルを用いて分類学・系統学的位置を推定した.その結果としてオトヒメゴカイ科・ハボウキゴカイ科・ウミケムシ科の新種記載および系統樹推定を含む3本の論文として成果を公表および公表予定である.上記論文は深海域の多毛類の多様性・系統学的位置を明らかにするものであり,課題①の遂行を十分に満たす内容であると考える.これらの成果は今後深海域と浅海域の生物を比較する際の重要な基礎情報となる.課題②については2018年度に遂行予定である。
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