研究課題
国内2機関、国外4機関の計6機関に所蔵されるテンス属Iniistius魚類の標本および文献調査を行った。その結果、現時点でこれまでに記載された51名義種のうち、20名義種が有効であることが判明したとともに、以下の成果を得られた。1)オーストラリア北部から得られたテンス属の1未記載種:オーストラリアの固有種であるIniisius jacksonensisはオーストラリア北部と東部で2種に識別されることが明らかとなった。また、両種ともオーストラリアの固有種であることがわかっている。2)テンス属の分類学的再検討:インドネシアから記載されたIniistius spilonotusは、同じくインドネシアから記載されたI. melanopusと同種である可能性がひじょうに高いことが判明した。3)テンス属の1未記載種:フィリピンおよび西オーストラリアから得られた、I. melanopusと色彩が酷似する12標本は本属の未記載種であることが判明した。4)テンス属の内部形態にかかわる新知見:テンス属魚類について行われた分類学的研究は外部形態に基づくものがほとんどで、内部形態に関する研究はなされていなかったが、本研究により本属魚類の骨学的特徴が明らかとなった。また、Novaculops魚類についても、9名義種のうち7名義種についてタイプ標本調査が完了した。そのほか、本研究課題を遂行するにあたり必要な標本採集を東南アジア各国を中心に行い、テンス類魚類の分布情報の蓄積に努めたほか、国内外の研究者の協力のもとフィリピン・パナイ島の魚類図鑑の執筆を行った。
2: おおむね順調に進展している
今年度は、当初の計画に概ね沿って研究活動を行うことができた。主にテンス属魚類の分類学的研究の面で成果が得られた。また、形態観察用の標本と、分子解析用のサンプルの収集も順調に進んでいる。
昨年度までに得られたデータを解析し、可能な限り論文として出版する。また、テンス属と近縁属各属との形態的比較を行う。
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Species Diversity
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Memoirs of the National Museum of Nature and Science
巻: 52 ページ: 205-361
Ichthyological Research
巻: - ページ: -
10.1007/s10228-018-0625-8
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