研究課題
我々はすでにCRTH2特異的阻害薬の投与により、LPS誘導性エンドトキシンショックにおけるマウスの生存率が改善する結果を得ている。その機序を解明するために各種実験を行い、検討した。まず、LPS投与の2, 6, 12時間後に腹腔内洗浄液を採取し、ELISAでサイトカイン濃度の測定をおこなったところ、CRTH2特異的阻害薬投与群において、CXCL10, IFN-γ, TNF-αの濃度が低下していた。CRTH2特異的阻害薬投与による炎症性サイトカインの変化がLPS誘導性エンドトキシンショックでの生存率改善に寄与していることが示唆された。その中でも、特にIFN-γ-CXCL10が重要な役割を果たしている可能性があると考えられた。次に、IFN-γの産生源を検討するために、腹腔内洗浄液をflow cytometryで解析したが、IFN-γを産生することが知られているCD4+ T cellやNK cellの割合に明らかな差は認められなかった。(ただし、CD4+ T cell, NK cellともにCRTH2特異的阻害薬の投与により減少する傾向であった)細胞割合に差はなかったが、細胞の機能に差がある可能性がある。そのために、細胞機能を解析する目的で、腹腔内洗浄液からNK cellをMACSにて単離し、RT-PCRにて遺伝子の発現を評価した。その結果、CRTH2特異的阻害薬投与群では、対照群と比較し、LPS投与後のIFN-γのmRNA上昇が抑制されていた。同様の検討をCD4+ T cellでも行い、CRTH2特異的阻害薬の投与によりIFN-γのmRNA発現が変化するかを検討する予定としている。
3: やや遅れている
LPS誘導性エンドトキシンショックモデルにおいて、CRTH2特異的阻害薬が対象となる細胞集団が明らかになりつつあるが、肺障害における機序解明には至らなかった。また、in vitroの系が確立できていない点も進捗が遅れている理由である。
まずは、細胞内染色にて、IFN-γの産生源を検討することを考えている。気管支肺胞洗浄液中でも上記と同様の検討を行い、肺内でも同様の現象が生じているか、検討する。同様の検討をCRTH2ノックアウトマウスでも行う予定である。
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