研究課題
エンドトキシンショックに続発する急性肺損傷におけるPGD2/CRTH2の役割の解明が目的だが、前段階として、CRTH2特異的阻害薬がLPS誘導性エンドトキシンショックにおける保護的役割のメカニズムを引き続き検討した。まず、腹膜炎誘導敗血症マウスモデルと同様に、LPS誘導性エンドトキシンショックモデルにおいても腹腔内のProstaglandin D2濃度は経時的に上昇していくことを確認した。CRTH2特異的阻害薬をLPS投与13時間前から12時間おきに投与したところ、LPS投与12時間後の時点でProstaglandin D2濃度が低下傾向だった。これは炎症が抑えられた結果を見ている可能性があると考えた。次に腹腔内洗浄液中の細胞分画を評価したところ、CRTH2特異的阻害薬において腹腔内好中球遊走を抑制することが分かった。好中球遊走に関わるケモカインとして、CXCL1, CXCL2が挙げられる。腹腔内好中球数増加の原因として、これらケモカインの腹腔内洗浄液中濃度が変化するか、ELISAで評価した。LPS投与後の腹腔内洗浄液中のCXCL1, CXCL2濃度はCRTH2特異的阻害薬投与群と対照群で差を認めなかった。ただしCRTH2特異的阻害薬投与群ではLPS投与後の末梢血中のCXCR2発現好中球の割合が対照群よりもより減少する傾向だった。このことはCRTH2特異的阻害薬投与群において腹腔内への好中球浸潤が抑制されたことの一因になりうると考えられる。さらに、前年の検討でIFN-γがCRTH2阻害薬投与群での生存率改善に関連している可能性が示唆されたため、IFN-γ産生源を確認するために細胞内染色を行った。LPS投与6時間後の脾細胞を単離し細胞内染色を試みたが、T cellやNK cellのIFNγ発現量に群間差を認めなかった。リンパ球系以外の細胞集団が関与していることが考えられた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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