研究課題/領域番号 |
17J05489
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
家永 直人 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | カメラ位置姿勢推定 / 3次元計測 / 行動認識 |
研究実績の概要 |
本年度は複数台の自由移動カメラを扱うための基礎技術である位置姿勢推定と可視・不可視領域の判定やその応用研究について重点的に取り組んだ. 1.位置姿勢推定に関しては,一般的に用いられる特徴点がほとんど検出されない人工的な環境において特徴線分を用いる手法を提案した.一方で,深層学習を用いた複数台の自由移動カメラの位置姿勢推定の研究を進めている.これは指にはめた小型カメラの画像から指の角度を推定する研究である. 2.可視・不可視領域の判定に関連する研究として,一人のユーザが単一のデプスカメラを使い自分の足を撮影する際,複数視点から撮影しても不可視領域ができてしまう問題を変形可能なモデルを利用し解決した.当初の計画においては,複数台のカメラが必要としている空間を捉えているかどうかの判定について取り組む予定であったが,通常必要としている空間を囲うようにカメラが配置されることから複数台のカメラ(あるいは複数視点)からでも不可視となる領域をどのように対処すべきか,について検討した. 3.応用研究については,これまでの計画をベースに人行動センシングという応用先のテーマを,産業技術総合研究所や東京医科歯科大学,アルスター大学やパドヴァ大学の先生方など,また他大学の研究者の方々と始めており,そのために必要な要素技術の研究を進めている.それには,物体に固定したカメラの画像から物体を把持した手の姿勢を推定する研究やASD児の診断への応用,ジェスチャーの解析がある.例えばASD児の診断への応用については,作業療法などの効果検証やASDの診断の試験を客観的に行うための研究を進めている.今は簡単な設定で撮影された映像を用いているが,最終的には対象児の普段の生活場面から作業療法の効果検証などを行おうと考えており,その際には複数台のカメラや自由移動を行う一人称視点カメラの利用が必要になると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通り,「位置姿勢推定」と「可視・不可視領域の判定」に関する研究を行ったし,様々な研究者と共同研究を始めることで,実社会の多くのフィールドにおいての応用研究を可能にし,実際に共同研究を進めている.また,順調に成果が出ており,1つの学会誌への投稿,2つの国内発表の他,現在,投稿中執筆中の論文が複数ある.
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今後の研究の推進方策 |
現在までは手法の模索や検討などに時間がかかり,あまり論文を書けなかったが,最近成果が出始めているので,まずはそれらを論文にまとめ学会等に投稿する.そして引き続き基礎技術の研究と改良に取り組みつつ,様々な分野の研究者との共同研究を続け,インパクトのある,本研究の実社会への応用を目指す.
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