研究課題/領域番号 |
17J05794
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金原 明子 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | リカバリー / インタビュー調査 / 心理社会的支援 |
研究実績の概要 |
本年度は、心身両面のリカバリー促進因子の解明に関連して、英国で作成されたリカバリー評価尺度について、Mike Slade先生, Geoff Shepherd先生, Jane McGregor先生と連携し、日本語版を開発し、信頼性・妥当性検証研究を実施(N=197)し、“The Japanese Version of the Questionnaire about the Process of Recovery: Development and Validity and Reliability Testing”と題して論文発表した(Kanehara et al, BMC Psychiatry 2017)。 さらに、質的研究の研究者からスーパーバイズを受けながら、リカバリーの構成要素とリカバリー促進因子を尋ねるインタビュー調査を実施した。18歳以上の統合失調症や気分障害などをもつ患者30名を対象に、個別インタビュー及びフォーカスグループインタビューを行い、帰納的テーマ分析を行った。リカバリーの構成要素としては、「人に迷惑をかけない」・「人から認められる」などの親や社会からの継承価値が、疾患と周囲の支えを通し、1.自分の存在そのものの肯定感を得て(Self-esteem:自己肯定感)、2.自分を大切にし(Self-direction:自己主導性)、3.身近な他者を大切にすること(Benevolence:対他配慮)に変化していくことがわかった。リカバリー促進因子として、家族・友人・職場の人の支え(疾病理解・受け入れ、セルフマネジメントや問題解決に関する具体的アドバイス、居場所づくり)などが抽出された。 インタビュー調査の質的研究結果に基づき、リカバリー促進因子である家族など身近な人とのリカバリー目標の共有を取り入れた心理社会的支援プログラムの開発を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、リカバリー評価尺度の開発を行い、論文化を行い、(Kanehara et al, BMC Psychiatry 2017)、第13回 日本統合失調症学会にてポスター発表を行った。さらに、精神疾患をもつ本人のリカバリーの構成要素とリカバリー促進因子を尋ねるインタビュー調査を計画し、既に30名のインタビュー調査を終えて、分析を行い、第13回 日本統合失調症学会シンポジウムにて、結果の一部を報告した。さらに分析を進め、論文化を目指す。 インタビュー調査に基づく心理社会的支援プログラムを開発し、実現可能なリカバリー支援の検討を行っている。具体的な支援内容について考え、関係者と会議を重ね、他施設の心理社会的支援へも見学に行き、倫理申請などを行っている。 尺度開発は論文化を行い、質的研究では調査を終えスーパーバイズを受けながら分析を行い、心理社会的支援の準備を進めており、概ね期待通り研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の心理社会的支援については、日本語版Personal Values Questionnaire II質問紙(PVQ-II, 土井ら、2014)などで、本人が人生の中で大切についていることの意識化を行い、それを家族など本人と最も身近な人と共有し、本人が周囲と共に目標を考え、アクションプランを実行するプログラムを行う。まずは、①支援プログラムの効果検証(スタッフ・当事者双方の自己記入式質問紙回答)を行う。具体的には、アウトカムとして、上述のリカバリー評価尺度(Kanehara 2017)や、WHO 5 Well-being 尺度や、WHO Disability Assessment Schedule 2.0 を用いて、参加者の心身のリカバリーやWell-beingについて測定する。さらに、プログラム実施者であるスタッフのリカバリー志向性尺度として、The Recovery Knowledge Inventory や The Recovery Attitudes Questionnaire日本語版などを用いる。さらに、②支援プログラムに関するインタビュー(スタッフ・当事者双方)を行うことにより、当事者への支援プログラム実施の実施可能性を確認する。対象者は、東大病院デイホスピタルや、リカバリーセンターや、その他地域の医療機関や福祉施設を利用する精神疾患をもつ18歳以上の患者である。 今後は、リカバリー促進因子の構成因子及びリカバリー促進因子についてのインタビュー調査の質的研究について、論文化・英文誌への投稿を行う。また、リカバリーを促進する心理社会的研究について、プトロコル論文執筆を目指し、介入プログラムを実施していく。
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