神経変性疾患における病因蛋白質であるαシヌクレインを扱い、その病理形成が運動トレーニングによって影響を受けるか否かを検討するということでスタートした本実験計画であるが、実験の進行は計画と大きく異なるものとなった。まず、試験管内でのαシヌクレインの生成への着手および、試験管内のαシヌクレイン凝集化を評価する実験系を立てることに一年目の多くを使用した。マウスでの実験系に着手しようとした2年目に、αシヌクレイン蛋白質凝集体が点変異体ごとに異なった形の凝集体を形成することを見出した。別でマウスの実験も進行していたが、αシヌクレインを脳に打ち込んで、運動トレーニングを課す実験を行うまでには至らなかった。しかしながら一方で、試験管内でのαシヌクレインの凝集化に関しては、他研究機関と共同でその分子構造の一旦を見出すまでに至った。今後、生体内でのαシヌクレイン凝集化のメカニズムを検討し、運動トレーニングがαシヌクレイン凝集体形成に与える効果を検討していきたい。
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