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2017 年度 実績報告書

Cas9タンパク質の改変による新規ゲノム編集ツールの創出

研究課題

研究課題/領域番号 17J05841
研究機関東京大学

研究代表者

平野 清一  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2020-03-31
キーワードゲノム編集 / CRISPR-Cas9 / PAM認識機構 / RNA / RNP
研究実績の概要

CRISPR-Cas9システムの分子レベルでの理解は、CRISPR-Cas9をゲノム編集ツールとして応用する際に有用である。本研究ではCas9の結晶構造解析によって、この目標を目指している。本年度は目的タンパク質(ジフテリア菌に由来するCas9)の結晶化、位相決定、構造解析、機能解析を目指した。Cas9-RNA-DNA複合体の最適な結晶化条件を探索した結果、塩・バッファー条件を工夫することで良質なCas9の結晶を得ることができた。この結晶からは3.2Åのデータセットが取得できた。位相決定のために、Cas9のセレノメチオニン置換体を作成し、結晶化をおこなった。この結晶からは2.9Åのデータセットが取得できた。SAD法を用いて、Cas9-RNA-DNA複合体の構造を決定した。Cas9の複合体の結晶構造解析での成功例は少なく、この結果は世界的にみても価値が高い。Cas9-RNA-DNA複合体構造をもとに、Cas9変異体とガイドRNA変異体を設計し、作製した。Cas9変異体とガイドRNA変異体を用いたDNA切断実験をおこなった。このデータからPAM認識機構にかかわるアミノ酸残基の役割が明らかになった。さらにCas9によるガイドRNAの認識部位があきらかになった。以上、Cas9の構造解析と機能解析のデータから、ジフテリア菌に由来するCas9のRNA依存的にDNAを切断する分子機構が明らかになった。Cas9のRNA依存的なDNA切断機構のメカニズムは先行研究から明らかにされているが、本研究では予想外のPAM認識機構が明らかになり、Cas9のメカニズムについての理解がさらに深まった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度はCas9の結晶構造解析にCas9の結晶の条件を最適化するためのスクリーニングを行った。蛋白質の結晶化条件の探索は、変えるべきパラメーターが無数にあるため、難航することが多い。本研究で用いた蛋白質の結晶の性質は、当初の予想より良かったため、スクリーニングが早期で終了した。このため、Cas9の結晶構造解析だけでなく機能解析まで行なうことができた。

今後の研究の推進方策

次年度は、今回得られたCas9の結晶構造をもとにCas9とガイドRNAの変異体を作製する。作製したCas9とガイドRNAを用いて、PAM認識機構やDNA切断活性に変化がないか、生化学的な実験を行なう。生化学的な性質の変化したCas9について、米MITブロード研究所と協力してゲノム編集活性を調べる。これらの実験を通して、より高度なゲノム編集のできるツール開発を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Structural basis for the promiscuous PAM recognition by C. diphtherlae Cas92017

    • 著者名/発表者名
      Seiichi Hirano, Hiroshi Nishimasu, Ryuichiro Ishitani, Osamu Nureki
    • 学会等名
      CRISPR2017 conference
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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