研究実績の概要 |
①投与実験に用いる化学物質の簡易な分析法の開発 海鳥を用いたプラスチック投与実験で、プラスチックに添加する化学物質について、海鳥組織(特に肝臓)の分析方法を開発した。分析法では、はじめにシリカゲルへの吸着性の違いから、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を分けた。PBDEsとベンゾトリアゾールについては、各種カラム担体、水分含量、用いる溶媒を検討し、10%水不活性化フロリジルの9cmカラムを用いて脂質と分ける方法を作成した。これにより、ゲル浸透クロマトグラフィーの必要がなくなり、分析の手間が大幅に縮小できた。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の一部では、前処理の間に分解することが明らかとなり、これの解決法として前処理の早い段階でアセチル化により安定化することで、分析の再現性が確かめられた。 ②海鳥を用いたプラスチック投与実験の実施 新潟県粟島でオオミズナギドリへのプラスチックの投与実験を行った。8月下旬から粟島に入り、11月初めまで滞在した。実験では、実験開始後5日ごとにBody weight, Bill length, Bill depth, Head length, Wing length, Tarsus length, Tail length(生えてきたら)を計測、尾腺Wax採取、糞採取を行い、実験開始時と中間、実験終了時に血液を採取した。解剖個体については、各組織を、主に化学分析用に-20℃、酵素活性、ホルモン等分析用に-80℃、RNA分析用にRNAlaterにそれぞれ採取した。化学分析については一部の個体を分析したところまでであるが、プラスチック由来の化学物質の蓄積を示唆する結果を得ている。
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