研究課題
①海鳥への添加剤含有プラスチック投与実験、化学物質蓄積の分析:野外におけるプラスチック投与実験でプラスチックに添加して投与した5種の化学物質について、オオミズナギドリの体組織の追加の分析を行った(脂肪、尾腺ワックス、大脳、腎臓)。すべての組織から、プラスチック由来の化学物質の蓄積が検出され、プラスチックからの化学物質ごとの蓄積速度、体内での分配などの傾向が明らかとなった。②海鳥への添加剤含有プラスチック投与実験、毒性影響の分析:肝臓、甲状腺、脾臓、副腎、脳下垂体についてプールした試料の次世代シークエンサーによる遺伝子発現解析により、多くの遺伝子の配列等を明らかにし、さらに発現が変動している遺伝子を抽出、パスウェイ解析によって投与によって影響を受けた経路を抽出した。臓器間で共通して影響の示唆された経路のうち、特に注目された甲状腺ホルモン関連、薬物代謝、脂質代謝等に注目し、さらに定量PCRで個体ごとに遺伝子発現の定量を行った。③プラスチックからの添加剤の溶出の促進メカニズムに関する実験:ポリマー中での化学物質の拡散が、海鳥の消化管内で促進されている仮説について明らかにするため、プラスチックを液体に浸漬し溶出速度を調べる実験を行い、油に浸漬した時に大きな溶出促進があることを確認した。さらにフィルム積重実験を行ったところ、無添加のポリエチレンシートでの拡散速度に比べ、鳥の胃内の油の主成分であるワックスエステル、トリアシルグリセロール、極性脂質で膨潤したポリエチレンシートでは拡散速度の上昇が検出された。生物の消化管内に存在する油による膨潤が、プラスチック摂食による生物への化学物質の曝露を引き起こす重要なメカニズムになっている可能性が明らかとなった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Marine Pollution Bulletin
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