研究課題
本年度は、吸着したガス分子に強い摂動を印加可能な相互作用部位を組み込んだ多孔性配位高分子 (MOFs) を合成し、さまざまなガス吸着測定を行うことでその相互作用部位のガス分子への影響をガス雰囲気下におけるRaman、IR スペクトルおよび SPring-8 における粉末 X 線回折の温度可変 in situ 測定により詳細に調べ、選択的ガス吸着挙動の発現機構について検討した。2次元系{Fe(2,2’-bpy)[Ni(CN)4]}では構造体中の欠損を意図的に作製することで酸素ガスに対して活性な相互作用サイトによる高い酸素吸着選択性を見出した。また、3次元系{Co(pz)[Pt(CN)4]}では酸素吸着に伴う多段階構造変化と細孔内での酸素分子の三量化が示唆された。この化合物についてSPring-8 における粉末X線回折から得られたデータを基に吸着時のリートベルト構造解析を行い、窒素吸着時とは異なる構造形成することが明らかとなった。その他にも、ニトロプルシドを構成成分として用いた多孔性配位高分子の選択的酸素吸着挙動発現にも成功した。今回得られた知見は、種々のガス分子に対する相互作用サイトの親和性を配位環境の調節により自在に制御できることを示すものであり、研究課題の対象ガスである水素分子に対しても応用可能な優良な結果である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of the American Chemical Society
巻: 39 ページ: 15649-15655
10.1021/jacs.9b07732