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2019 年度 実績報告書

浮遊性有孔虫の光共生性に基づく海洋プランクトン密度プロキシの創設

研究課題

研究課題/領域番号 17J05887
研究機関東京大学

研究代表者

髙木 悠花  東京大学, 大気海洋研究所, 特別研究員(PD) (10785281)

研究期間 (年度) 2017-04-26 – 2021-03-31
キーワード浮遊性有孔虫 / 光共生 / 古環境プロキシ
研究実績の概要

本研究は,浮遊性有孔虫の「光共生度」が,海域の生産性(動植物プランクトン密度)によって決定される,という仮説の検証を起点とし,最終的には,浮遊性有孔虫の光共生性を間接指標とした古海洋の動植物プランクトンの密度プロキシを創設することを目的としている.
平成31年度/令和元年度はまず,どのような有孔虫種が何と共生関係を築いているかという基礎情報の整理を行うため,遺伝子実験に着手し,共生関係のパートナーシップを特定する解析を行った.また同時に,各有孔虫個体が捕食している餌についても解析できるため,本研究課題設定の大前提である,有孔虫と他生物との相互作用(捕食)についての情報を得ることができている.遺伝子実験によって明らかにした共生のパートナーシップに関する結果は,現在データを取りまとめている段階にあり,論文出版に向けて準備を行っている.
また,「光共生度」を古環境プロキシとして用いることに関しては,これまでに公表されている表層堆積物中の浮遊性有孔虫の群集組成をまとめたパブリックデータベースを利用して,全球レベルの光共生度を算出した.また,衛星観測のデータベースを利用して,表層水温や一次生産速度が,浮遊性有孔虫の光共生度や種の多様度とどのように関係しているのかを,統計モデルを用いて解析を行っている.現時点の解析状況では,光共生度や多様度(有孔虫群集のみから得られるパラメータ)を説明変数として,一般化加法モデルによって,表層水温を非常に精度よく予測できること,また一次生産速度についても予測可能であるという予察を得ており,新たな環境プロキシを提示できる見通しが立っている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで計画より遅れていた遺伝子実験を開始でき,順調に成果が出ている状況にあることに加え,最終到達点である「光共生度」の古環境プロキシとしての利用についても,予察的ではあるが,統計モデルを用いて実現可能な見通しが立っているため.

今後の研究の推進方策

遺伝子関連のデータについては,早急に取りまとめ,国際誌への投稿を目指す.また,古環境プロキシの開発については,「光共生度」と環境パラメータとの関係性をより詳細に記述し,プロキシとしての有用性を評価したいと考えている.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Characterizing photosymbiosis in modern planktonic foraminifera2019

    • 著者名/発表者名
      Takagi Haruka、Kimoto Katsunori、Fujiki Tetsuichi、Saito Hiroaki、Schmidt Christiane、Kucera Michal、Moriya Kazuyoshi
    • 雑誌名

      Biogeosciences

      巻: 16 ページ: 3377,3396

    • DOI

      https://doi.org/10.5194/bg-16-3377-2019

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Toward a better understanding of planktic foraminiferal proxies: Are they photosymbiotic or not?2019

    • 著者名/発表者名
      Takagi Haruka、Kimoto Katsunori、Fujiki Tetsuichi、Moriya Kazuyoshi、Saito Hiroaki
    • 学会等名
      JpGU2019
  • [学会発表] Uncovering the ecology of marine protistan zooplankton: Foraminiferal-algal symbiosis2019

    • 著者名/発表者名
      Takagi Haruka、Kimoto Katsunori、Fujiki Tetsuichi、Moriya Kazuyoshi、Saito Hiroaki
    • 学会等名
      UTokyo-NTU Joint Conference 2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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