研究課題
本研究では、ナノ多結晶ダイヤモンド(NPD)を利用したダイヤモンドアンビルセル(DAC)を使用し、超高圧下での物性測定を行うことを目的としている。超高圧下で正確な測定を実現させるためには、数十~数百μm四方の非常に小さなスペースに4端子を形成する必要がある。本研究ではこれまでに、CVDを用いてダイヤモンドにボロンをドープし、金属的な振る舞いを示すボロンドープダイヤの成膜に成功している。これまでに、このボロンドープダイヤモンドをNPDアンビル上に電極として微細加工することで、150GPa程度までの高圧力発生に成功した。また、平板状ダイヤモンドアンビルから、キュレット状ダイヤモンドアンビルへの置き換えにより、100GPaまで物性測定を行った後、アンビルを破損することなく大気圧に減圧することに成功した。これは、開発した装置が大気圧と100GPaという超高圧力環境の間を往復して、繰り返し利用可能であることを示している。装置の改良に加えて、本年度は5つの新しい超伝導体を発見することに成功した。これらの新規超伝導体は、データベース主導型のマテリアルズインフォマティクス的アプローチにより着目した物質群であり、開発した装置とデータ科学の組み合わせにより得られた成果であるといえる。発見した物質群の構成元素を様々に置換することより、さらに新たな新規超伝導体を探し出せる可能性もあり、本研究課題の最終年である来年度は、より多くの超伝導の発見が期待される。
1: 当初の計画以上に進展している
開発した高圧力下物性測定用装置をさらに改良して、目標のひとつであった100 GPa以上の超高圧力を発生させることに成功した。最高到達圧力は150 GPaであり、これは最近報告されている水素化物の高温超伝導が発現する圧力に匹敵する。このことから、当初の予定通り研究が進展したと考えられる。一方で、開発した装置とデータベース主導の物質スクリーニングを駆使し、昨年度だけで7種類の新規超伝導体を発見した。以上の点から、研究課題は期待以上の進展があったと評価できる。
当初の計画に従って、複雑化した電極パターンを利用した高圧力下ホール効果測定、また電界効果トランジスタ構造の作製を行い、圧力の印加とキャリアドープを利用した機能性材料の特性改善に取り組む。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
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