パーキンソン病(以下PD)患者のすくみ足に対し、定量的評価法を用いた行動指標と脳イメージング指標との関連性を多角的に検討し,今年度はすくみ足の程度と相関する神経基盤の同定することを目的とし,研究を行った. まず,脳イメージング指標と行動学評価系を統合した多角的評価系の開発に先立ち,脳イメージング指標として着目している安静時機能的MRI(fMRI)での機能的結合(以下FC)について,解析手法に関する基礎的研究として,機能画像の歪み補正がどのような影響を及ぼすのか検討を行った.結果として,歪み補正は,安静時fMRI由来のFCの同定を向上させた可能性が示唆され,歪み補正を安静時機能的結合の解析の流れに導入すべきであることを,学会および論文として発表した.加えて,PD患者において,PD患者の歩行障害であるすくみ足を評価する質問紙(new FOGQ)の点数とFCの関連性を検討した.結果,大脳基底核ネットワーク内でのFCの程度とnew FOGQの点数との間に正の相関が被殻,運動前野,扁桃体でみられ,これらの部位でのFCがPD患者のすくみ足の脳イメージング指標となる可能性が示唆された. 脳イメージング指標と行動学評価系を統合した多角的評価系の開発については,PD患者および健常高齢者ともに,歩行計測による行動評価、MRIによる脳イメージング計測を行った.加速度計を用いた行動指標を解析した結果,特定の歩行課題中に,PD患者では健常高齢者に比べて,定量化したすくみ指標が有意に増加していた.しかしながら,すくみ指標とnew FOGQとの相関関係はみられず,大脳基底核ネットワーク,感覚運動野ネットワーク,小脳ネットワークでのFCの程度との相関関係もみられなかった.今後は,症例数を蓄積していくとともに,すくみの有無による群分け,他の行動指標との関連性についての検討を進める予定である.
|