研究課題
前年度までに、DCから回収したDC-Exoが強力な免疫活性化能を有しており、DC依存的/非依存的な抗原提示に基づいた抗腫瘍免疫の誘導が可能であることを見出した。そこで今年度はまず、このDC-Exoの強力な免疫活性化能を示すメカニズムを解明することを目的に検討した。さらに担癌モデルマウスを用いた治療実験により、DC-Exoの治療効果を検証した。1.DC-Exoの強力な免疫活性化機構:DC-Exoがマクロファージや樹状細胞を活性化する際には、DC-Exo表面上の分子が関与していると考えられる。DC-Exo表面上にはタンパク質と脂質が存在することから、まずタンパク質が関与しているか検討した。DC-Exo表面上のタンパク質をプロテアーゼ処理により消化した際にもDC-Exoは強力な免疫活性化能を保持していたことから、タンパク質は免疫活性化能に大きく関与していないことが示唆された。次にDC-Exo表面にはToll like receptor 4(TLR4)に対するリガンドが存在することが示唆されている。そこでDC-Exoの免疫活性化能をTLR4感受性、並びにTLR4低感受性マウス由来のマクロファージを用いて評価した。DC-Exo添加によりTLR4感受性マウスのみが活性化され、炎症性サイトカインであるTNF-α産生を強力に誘導した。以上の検討より、DC-ExoはTLR4依存的にマクロファージを強力に活性化することが見出された。2.担癌モデルマウスを用いたDC-Exoの治療効果:OVA抗原を発現したEG7細胞をモデル癌細胞として担癌マウスを作成した。DC-Exoを腫瘍内投与により免疫することで対照群と比べて強力に腫瘍の増殖を遅延した。さらにDC-Exo投与群8匹中3匹は腫瘍の完全な退縮が認められ、OVAに対しての獲得免疫が誘導された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Biological and Pharmaceutical Bulletin
巻: 43 ページ: 576~583
https://doi.org/10.1248/bpb.b19-00831
OncoImmunology
巻: 9 ページ: 1747732~1747732
10.1080/2162402X.2020.1747732
Journal of Extracellular Vesicles
巻: 9 ページ: 1696517~1696517
10.1080/20013078.2019.1696517
Biomaterials
巻: 225 ページ: 119518~119518
10.1016/j.biomaterials.2019.119518