1.対象資料の三次元計測とGIS分析 秋田県縄手下遺跡の後期旧石器時代前半期石刃石器群の三次元計測を実施した。また、群馬県後田遺跡の遺跡内GIS分析のために、群馬県埋蔵文化財調査事業団が所蔵する全現場図面をスキャンし、出土遺物全点の位置情報を復元した。これについては、前年度に実施した同遺跡の前半期石刃石器群の三次元計測および形態分析の成果と併せて、搬入石刃の地点間形態的変異を評価する分析に用いる。この他に、福島県笹山原No.8・No.16遺跡(郡山女子大学所蔵)の後期旧石器時代前半期石刃石器群の資料調査を実施した。 2.分析手法の確立 前年度の実施状況をふまえて、石器の三次元形態の評価について、資料群の単なる統計的な代表値を採用するのではなく、使用痕分析、実験資料などの参照情報を用いて遺跡間変異を評価する方法に切り替えた。これを受けて今年度は実資料での検証を行った。成果は国内学会でポスター・口頭で発表している 3.資料集成と広域編年の検討 本研究で主な対象資料としている後田段階の石刃石器群について、その編年的位置づけを検討するために、愛鷹山麓から南関東、北関東、東北地方の石刃石器群の細分編年の地域間比較を行い、広域編年を検討した。成果は口頭発表と論文で発表している。また、列島規模での後期旧石器時代前半期石器群の広域編年の検討、後期旧石器時代前半期後葉の構造変動の理解のために、南九州(熊本県・宮崎県・鹿児島県)の台形様石器群の悉皆的な資料調査を実施した。 4.その他 2018年9月に群馬県後田遺跡の発掘調査を実施した。また2018年12月に徳之島アマングスク遺跡の発掘調査、2019年3月に群馬県三ツ木東原遺跡の発掘調査に従事した。
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