研究課題/領域番号 |
17J06457
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 司 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 蛋白質 / 基質結合部位 / 蛋白質立体構造予測 / 多重配列アラインメント |
研究実績の概要 |
本年度は,三つの方面で研究が進展した. 1. 蛋白質基質結合ポケットの大規模データを解析するために開発した手法を用いて,これまでに報告されている,異なる蛋白質における同一基質結合ポケットの構造多様性と,開発手法での類似性の定義との間の関係について解析した.また,従来手法では発見困難だった,一部の同一基質結合ポケット間の類似性も同定可能であることを明らかにした.こうした成果を三つの国内学会と一つの国際学会で発表した.さらに,以前定義した三角形パターン間の類似度を見直し,基質結合ポケット間の類似度の定義に改良を加えた.これにより,false positive rateが低い時であっても,より高感度なポケット間の類似度を計算できることが確認された.加えてこの改良により,三角形パターン間の類似度の行列がスパースな形で定義されることとなり,全体的な計算方法の枠組みも改良が可能となった. 2. 2016年に開催された蛋白質立体/複合体構造予測実験(CASP/CAPRI)の複合体構造予測実験での我々の結果(全参加チーム中1位)及び,用いた手法の有効性について遡及的な解析を行い,Proteins 誌に論文を発表した. 3. 蛋白質立体構造予測の高度化に関連して,多重配列アラインメントの精度向上は非常に重要な課題である.多重配列アラインメント法であるMAFFTのクラスタ並列化を実現するとともに,二次構造予測を通じた多重配列アラインメントの精度評価及び,計算時間のベンチマークを行い,その結果を Bioinformatics 誌に発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1. 蛋白質基質結合ポケットを比較するための開発手法に関する解析を進めることができた.また,手法の改善点を確認し,改良まで行うことができた. 2. 複合体構造予測実験の結果,手法の有効性についてProteins 誌に論文を発表した. 3. MAFFTのクラスタ並列化を実現し,その解析結果をまとめ,Bioinformatics誌に論文を発表した.
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今後の研究の推進方策 |
東京大学情報基盤センターのスーパーコンピュータシステムを利用し,大規模データである蛋白質基質結合ポケットデータの網羅的解析を,改良した手法を用いて行う.また,解析により得られた知見を立体構造予測の高度化へと繋げる手法の開発を行う.前年度の解析成果と合わせて研究成果をデータベース化し公開する予定である.
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