本年は,二つの方面で研究の進展が見られた. 1. 2018年に開催された蛋白質立体構造予測実験(13th Community Wide Experiment on the Critical Assessment of Techniques for Protein Structure Prediction)に参加し,出題されたターゲットに対する立体構造予測を行った.この過程で立体構造予測に関する様々な知見を積み重ね,国際会議に参加し,今回我々が開発し用いた手法についても含め,議論を行った. 2. 蛋白質基質結合ポケットの大規模データを解析するために開発した手法を用いて,これまでに報告されている異なる蛋白質における同一基質結合ポケットの構造多様性と,開発手法での類似性の定義との間の関係について,前年度に引き続き,解析した.また,従来手法では発見困難であった,一部の同一基質結合ポケット間の類似性も同定可能である例について拡充した.加えて,過去の研究で報告されている基質のconformational diversity と,ポケット構造の関係性についても解析を行った.さらに,2018年に発表された新たなデータセットを用いて,既存の他手法との性能比較を行った.これは,全体構造が一定以上類似する蛋白質に由来する推定ポケット形状ペアが混ざらないように,よくキュレーションされたデータセットである.この性能評価を通して,新規手法の有用性を一層明らかにした.こうした成果を二つの国内学会と二つの国際学会で発表した.
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