現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,「ゲル材の(固体)を用いた液体射出システムの開発」について大きな進捗が得られた.ゲル材の導入することで,液体ジェットの射出速度の制御の達成した.この成果は,これまでの液体ジェット技術で問題である,液中の発泡現象(キャビテーション)によるジェット射出速度の不安定化に対するブレイクスルーとなる.本研究成果は,国内学会誌(前嶋,大貫ら,日本画像学会誌,2019)および国際会議(Onuki et al., 71st APS Division of Fluid Dynamics, 2018, Atlanta, USA)で発表した.さらに,ジェットの制御性に加え,ゲル材により液中のキャビテーションを抑制できることを示した.これは,気泡核などの除去が困難となる高粘度液体や非ニュートン性液体を用いたジェット速度の制御への大きな貢献が期待できる. さらに2年目の課題である「高粘度液滴量の制御」に関して,液滴が一滴として射出される条件の解明に成功した.これにより,塗布精度の大きな障害となるサテライト滴の防止が達成される.したがって,高粘度液滴のオンデマンド印刷に大きく前進したことになる.次年度では,一滴として射出される条件の範囲内でパラメータスタディを行い,液滴量の変化を調査する. 3年目の課題である「非ニュートン液体射出メカニズムの解明」に関しては,実際に非ニュートン性液体を用いた実験に着手できた.その結果により,非ニュートン性液体ジェットの挙動がニュートン性液体のそれと大きく異なることを示した.さらに,本課題に関して,海外の研究者(Franck Quero准教授,University of Chile,Chile)との共同体制の構築にした.現在もQuero准教授とは,友好な関係を気づいており,次年度の研究成果により国際共著論文の執筆が見込まれる.
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