本年度は、集積回路の劣化状況や寿命の推定を十分に安全な方式で行うフレームワークの検討を行った。 1. Learning with Errors (LWE)のハードウェア基盤創出 前年度で得られた知見により、Learning with Errors (LWE)暗号に基づく秘密計算方式を実現するために、ハードウェア基盤の構築が重要であることが分かり、本年度では、そのさらなる効率化を検討した。南京航空航天大学と共同研究を行い、2018年に本研究の一部として発表された近似計算手法を暗号システムに適用する研究(DWE: Decrypting Learning with Errors with Errors)を、より汎用的なField Programmable Gate Array (FPGA)デバイスの上で実装し、実際のセキュリティプロトコルでその実用性を確かめた結果を、システム設計のトップ会議であるInternational Symposium on Circuits and Systems (ISCAS)に採択された。また、今年度にLWEとRing LWE (RLWE)対し設計した乗算器アーキテクチャ設計自動化分野における最難関会議であるDesign Automation Conference (DAC)に発表し、その関連研究もWorkshop on Synthesis and System Integration of Mixed Information Technologies (SASHIMI)で発表した。
2. 小型センサによる寿命推定 上記の安全方式の結果を踏まえ、小型センサによる寿命推定の計算方式を考え、SASHIMIで発表した。発表したセンサアーキテクチャを用いれば、簡単な計算で高精度な寿命推定が可能であることを示した。
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