研究課題/領域番号 |
17J07108
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
庄田 宗人 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
キーワード | 磁気流体力学 / プラズマ乱流 / 太陽風加速 / コロナ加熱 |
研究実績の概要 |
私の研究課題は太陽風駆動メカニズムの理論的解明である。太陽風は大気の熱エネルギーに加え、磁気流体波動のエネルギーで駆動されているという説が有力であるが、駆動を担う波動の振幅・周期・相関長などの基本的なパラメータは未だにわかっていない。これらは太陽風の密度や速度といった基本的なパラメータを決定する重要因子であるため、例えば現在の太陽を基準にかつての太陽や他の恒星の質量損失率を推定するには波動の性質を詳しく調べる必要がある。これらの問題を解決すべく、当該年度は太陽大気中における磁気流体波動の生成・伝播・散逸過程を一次元の数値シミュレーションを用いて調べた。 波動生成過程の研究では太陽下層大気である彩層中の波動間相互作用に注目した。数値シミュレーションの結果、圧縮波と非圧縮波の相互作用により非圧縮波の増幅が生じ、しかもそれが観測される波動の性質をよく説明することを示した。これまでの理論モデルは下層大気中の波動増幅過程を考慮しておらず、理論モデルの修正が必要であることが示唆された。 波動伝播・散逸過程の研究では太陽風中で波動がどのように散逸するかを調べた。先行研究から圧縮性加熱と非圧縮性加熱の両方が重要であることが示唆されていたため、私は世界で初めて圧縮性加熱、非圧縮性加熱の両方を同時に考慮することのできるモデルを考案し、その数値シミュレーションを行った。計算の結果、現実の太陽風では両者が同程度働いているが、加熱貢献度はパラメータに強く依存することが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度の研究は極めて順調に進んだと自己評価している。波動の生成及び散逸について独立した二つの研究を行い、それぞれの成果を論文にまとめ査読付き学術雑誌に投稿、出版した。また国際学会にて一件、国内学会にて三件の研究発表も行い、高い評価を受けた。さらに翌年度の研究準備も順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究方針を継続しつつ、今年度はより現実的な磁気流体波動の非線形過程のシミュレーションを行う。具体的には一次元計算ではなく三次元計算を用いたモデリングに挑戦する。
|