蛋白質のディスオーダー領域(IDR)は、パートナー分子を認識するときに柔軟な結合様式を使用する。パートナー分子へのIDRの結合は折り畳みを伴い、複合体の形成にはしばしば様々な結合立体配座が許容されることが示唆されている。 本研究では、代表的なIDRとして、S100Bと相互作用するIDRであるp53 C末端ドメイン(CTDf)の相互作用を調べた。 S100Bとの複合体におけるCTDfの3D構造は以前に報告されているが、特異的相互作用は物議を醸すままであった。これらの相互作用を明らかにするために、効果的な構造サンプリングを可能にする分子動力学計算(仮想系と共役したマルチカノニカル分子動力学法)を行った。 我々のシミュレーションから以下のことが明らかとなった。CTDfおよびS100Bを含む系はマルチモーダルな構造分布で特徴付けられた。つまり、CTDfがS100Bに結合すると様々な複合体構造を形成することを示している。我々の結果は、以前の研究で観察された化学シフト摂動と核Overhauser効果と一致していることを確認した。さらに、結合および単離状態におけるCTDfの立体配座エントロピーを計算した。これらのCTDfエントロピーの比較は、CTDfがS100Bへの結合時に立体配座多様性のさらなる増加を示した。結合によるそのようなエントロピー獲得は、IDRのための複合体形成の重要な特徴を含んでいるだろう。
|