研究課題/領域番号 |
17J07232
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岸本 励季 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
キーワード | 記憶方略 / 忘却 / 記銘/保持 / フサオマキザル |
研究実績の概要 |
遅延時間の長さの違い、およびそれを記銘段階もしくはリハーサル開始時点で明示するかによって、フサオマキザルが記憶方略を切り替えるかを検討した。遅延時間シグナルが付された遅延見本合わせを行う際に、シグナルの明示タイミングが異なる場面を2つ設けた。それぞれは、見本と同時に遅延シグナルが呈示され、遅延時間によって、記銘方略と遅延中の保持方略の双方を切り替えることができる場面とリハーサル開始時点で遅延シグナルが呈示され、保持方略のみを調節することができる場面であった。 (実験1)セッション内に4秒遅延と16秒遅延を設け、この2種類の遅延長間で記憶方略の切り替えが行われるかを検討した。その結果、被験体3個体中2個体は、遅延時間と場面によって記憶方略を切り替えた。1個体は、記銘段階から遅延長を明示された場合には、16秒遅延試行であえて積極的な記憶を行わなかった。そして、もう1個体は、リハーサル開始段階で明示された場合には、同様の傾向を示した。 (実験2)遅延時間を1秒と8秒に設定し、実験1と同様の実験を行った。その結果、1個体は実験1と同様の傾向を示し、セッション内での相対的な遅延長に応じて記憶方略を切り替える可能性を示した。 以上の結果から、フサオマキザルが遅延時間が長い、すなわち、より多くの認知資源が必要とされる場合には積極的な記憶は行われないこと、そして、記銘程度の調節機会の有無によって反応が異なることから、記銘の深さとリハーサル程度の双方を場面依存的に切り替えることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
得られたデータの解釈を行うにあたり、当初は予定していなかった追加実験の実施が必要となったため。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度行った研究課題をもとに、フサオマキザルを対象としたオペラント課題に取り組む予定である。この課題では、フサオマキザルが忘れる可能性を予見的に判断し、準備的な情報希求を行うかを検討する。それによって、忘却を予想する際に用いられる手がかりについて検討を行う。
|